新iPadがいよいよ登場
アップルは2012年3月8日、新型iPadを発表した(発売は3月16日から)。発表を待ちきれないメディアからは「3モデルが発表される」などといった憶測記事が流れていたが、ふたを開けてみると1モデル。以前から予想されていたRetinaディスプレイ(高解像度ディスプレイ)搭載モデルであった。新型iPadは解像度が4倍アップ! 処理速度も2倍に向上
新型iPadのハードウエアとしての大きなトピックは、従来と同じ9.7インチながら2048×1536ドット(初代iPad、iPad 2は1024×768ドット)という超高解像度液晶を採用したことと、それに伴ってiPad 2の2倍の処理速度(グラフィックス性能は4倍)を実現した「A5Xチップ」を搭載したことにある。新型iPadのRetinaディスプレイ搭載は従来から予想されていたことではあったが、実際に発表されるとやはり大きな衝撃であった。従来モデルですらほぼドット感を感じさせない解像度だったが、その4倍(縦横2倍ずつ)の解像度になったことで、よほど視力の良い人でもない限り、いくら目をこらしても1ドットの大きさを判別することのできないレベルになっている。
そのすごさは、以下の画像を見ればわかるはずだ。
内蔵されているA5XチップはCPUの処理速度自体はiPad 2が搭載しているA5チップの2倍とのことだが、グラフィックス性能は4倍に向上したことで、解像度が4倍に上がった新型iPadをiPad 2と同レベルで駆動することを可能にしている。
4G通信機能内蔵モデルもラインアップ カメラ性能も向上
iPad 2まではWi-Fiモデルに加えて「Wi-Fi+3G」モデルをラインアップしていたが、新型iPadでは「Wi-Fi+4G」モデルをラインアップしたこともトピックとして挙げられる。LTEや3G HSPA+、DC-HSDPAなどの高速通信サービスに対応したことで、よりストレスのないインターネットアクセスが可能になった(日本での4G対応は未定)。海外の4Gモデルでは、iPad経由で最大5台の無線LAN機器をインターネット接続できる「テザリング」にも初めて対応した。だが日本を含む一部の国のモデルでは、通信事業者が対応しないためテザリングはできないのが残念なところ。
そのほか、内蔵カメラは約500万画素にパワーアップし、フルHD動画撮影(1080p、毎秒30フレーム)にも対応した。従来は約92万画素で動画は720p(1280×720ドットのプログレッシブ映像、毎秒30フレーム)対応だったので、こちらもなかなかのスペックアップだ。
ただし、厚さが約6mmアップの9.4mmになり、重さもWi-Fiモデルで約601gから約652gと約51gアップしてしまったのは残念なところ。とはいえ、液晶解像度とCPU性能がアップしながらも最長約10時間のバッテリー駆動(インターネット利用時は約9時間)を実現したのは見事だ。
ネットでは新型iPadに対して賞賛する声と失望したという意見が出ているようだ。失望したという意見は、デザインが完全にiPad 2を踏襲しているところから出ているのだろう。確かに画面サイズの小さい、より持ち運びのしやすいモデルなどが出なかったのは一部のユーザーにとってかなり残念なことだろう。だが、新型iPadはそれでもかなり進化したと筆者は考える。
特に魅力的なのが「電子書籍・電子雑誌・電子新聞」の閲覧がよりしやすくなったことだ。雑誌や新聞はそのレイアウト自体がそれらの主張でもあるため、一部を拡大して読むというのはあまり望ましくない。だが一般の雑誌や新聞と同じ文字の大きさで読むと、従来は文字の粗さ(ドット感)が感じられることが多かった。
その点、Retinaディスプレイは相当小さな文字でも、文字自体が判別できないということがなかった。自分の読みやすい文字の大きさで読めるというのはうれしい進化だ。
新型iPadが大きく進化していないように思えるのは、ハードウエアでなくOSやアプリのバージョンアップなどによって多くの機能を向上している点にある。
次のページでは、同時に発表されたiOS 5.1について解説します。