住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

安全な街を選ぶための現地チェック術(2ページ目)

安全は住まいの基本性能。そのうちの大きな部分を占めるのが土地そのものです。ここでは安全な街を選ぶために現地では何をどうチェックしたら良いかをまとめます。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


住みたい場所周辺の道幅、
住宅の築年数や種類、塀の状況もチェック

路上駐車

道幅はあっても、いつも路上駐車されている場所もあるので、その辺りもチェックしたい

住みたい場所周辺ではまず、道幅を確認。建築基準法では幅員4mの道路に2m以上面していれば建物は建てられますが、建物が倒壊したり、車が停まっていたりすると幅4mでは避難時の通行に不安があります。安全を気にするなら、幅6m以上がひとつの目安でしょう。

 

これは街の燃えにくさを表わすための不燃領域率の算出方法を参考にした数値です。不燃領域率はある特定の地域内にある道路、公園などのオープンスペースや耐火構造などで燃えにくい建物が占める割合を基に算出するもので、この数値が70%以上になると焼失率はほぼゼロとなり、燃えにくくなります。つまり、幅6m以上の道路はそこで延焼を防いでくれる効果があると考えられていると思われるのです。ただし、東京消防庁は震災時通行可能道路として、地盤の軟弱な地域では7.5m、それ以外の地域では6.5m、空地や耐火建築物等に面した道路では5.5mと定めていますから、可能であれば前面道路は広めの場所を選びたいところです。

 

街角公園

小さな街角公園でも災害時には火を防ぐ大きな役割を果たす。地域の防災倉庫などが設けられている場合もある

ちなみに延焼防止に役立つものとしては短辺もしくは直径が10m以上で、かつ面積が100平米以上の公園や水面、鉄道敷、運動場、学校などが挙げられています。避難場所になるような広大な公園に限らず、小さくてもちょっとした公園が近くにあれば、生活に潤いがあるだけでなく、防災上にもプラスになるわけです。

 

古い家

人が住んでいない家はゴミが不法投棄されたり、手入れが行き届かず倒壊の危険が高くなったりするので要注意

もうひとつ、燃え広がりやすさを示す指標として木防建ぺい率という指標もあります。これは特定の地区内の面積に対し、木造建築物の建築面積がどのくらいの割合になるかを示すもので、木造建築物が多い地域(木防建ぺい率40%以上)では延焼しやすく、少ない地域(20%未満)では燃えにくくなると言われています。これを考えると、自分が選ぼうとしている区画にはどんな住宅が多いかを見ておくことも大事です。特に古い木造住宅で、あまり手入れが行き届いていない、あるいは空き家になっているなどといった建物は倒壊しやすく危険です。

 

アーカイブ

過去に取引のあった物件について調べることができる便利なサイト。ただし、一戸建ては掲載されていない

木造住宅以外でも、旧耐震の建物に不安を感じる方もいらっしゃるでしょう。周辺に古そうな建物を見かけたら、エントランス周辺の「定礎」に記載されている竣工年月日を見てみる(ただし、すべての建物にもあるわけではありません)、住民や周辺の人に築年代を聞いてみるなどして確認する手があります。また、過去に売買、賃貸の履歴があれば、HOME'S 不動産アーカイブで築年数が確認できる場合があります。

 

擁壁

高低差のある住宅街では擁壁の状態も見ながら歩きたい

塀については前述した通り。また、周辺に擁壁などがある場合には、はらみ出しがないか、長く水平に亀裂が入っていないか、水がしみ出して苔が生えていたりしないかなども見ておきたいポイント。古い住宅では大谷石の擁壁を見かけますが、これは危険。また、水抜き穴がない擁壁や、空洞ブロックを1m以上積み上げた擁壁にも注意が必要です。さらに詳しくチェックする時には国土交通省「我が家の擁壁チェックシート(案)」を参照してください。

 

  • 前のページへ
  • 1
  • 2
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます