うつ病/うつ病患者への接し方・言ってはいけない言葉

傷つく言葉には負けないで!

言葉で傷つく事は、人生を送る上で避けがたい事かも知れません。今回は、傷つく言葉を言われてしまった時、そのダメージを最小限にとどめるコツを分かりやすく解説します。

中嶋 泰憲

執筆者:中嶋 泰憲

医師 / メンタルヘルスガイド

傷つく言葉を浴びてしまった時は、心のケアを意識して!

言葉で傷ついた時は、まずは、ダメージを広げない。そしてダメージが大きくなってしまった真の問題には、背を向けないで、向き合いたいものです

言葉には気分を変える力があります。朝から一日、気分が冴えない日でも、何かの言葉で急に気持ちが晴れやかになる事もあれば、反対に誰かの言葉で折角の良い気分が台無しになる事もあります。誰それから、何かを言われて、ひどく傷つく事は、人生を送る上で避けて通れない事なのかも知れません。

もっとも誰しも何らかの対処法を心得ているもの。もしも、相手から言われた、その言葉が、ずっと頭から離れないような時は、心のケアが必要です。

今回は、傷つく言葉を言われてしまった時、そのダメージを最小限にとどめるコツを分かりやすく解説します。

まずはダメージをチェック!

誰にでも、これを言ってはいけないという言葉があるもの。それを言われれば、一日、その事が頭から離れなくなってしまうかも知れません。それでも、一夜、明ければ、また、普段通りになれば、まず心配は要りませんが、もしも、翌日も、その言葉が頭に残っているようなら、ダメージが深刻化してしまう可能性もあります。その言葉を言われて以来、以下のような症状は無かったでしょうか?
  • 気持ちが落ち込みやすくなった
  • 寝つきが悪くなった
  • 睡眠が浅くなった
  • 夢に出てきた
  • その事が、ふとした拍子に頭に浮かんだ
  • 目先の事に集中できなくなった
  • ちょっとした事でイライラするなど、神経が過敏になった
  • その時の記憶が一部抜けている
  • 普段の自分では無いような気がした  

なぜダメージが大きかったかを理解してみて

もしも、上記に挙げたような症状のうち、それが幾つも数日間持続するようなら、ダメージが深刻だったと言えます。ただ、ここで注意したい事があります。同じ言葉でも、ある人は、ちょっとムッとした程度で済むのに、ある人にとっては、ダメージが大きくなってしまう事です。一例として、親戚同士の集まりで、「おばちゃん、太ったね」と、幼児が20代の女性に向かって言ったとします。

さて、相手は小さな子供。そこは大人の態度を取られるでしょうが、内心、カチンと来てしまったかも知れません。ただ、カチンの程度は人それぞれ。すぐにその事が気にならなくなる人もいれば、その言葉が心にグサリと刺さってしまって、その傷が、なかなか癒えない人がいるかも知れません。

そうした場合、自己のナルシスト的気質が傷ついた、あるいは、何らかのコンプレックスが刺激されてしまった可能性もあります。また、その時の気分も関係するでしょう。何か良い事があったばかりで、気分が良い時は、そんなに腹が立たなくても、朝から一日イライラしていたら、そのイライラにとどめをさされた可能性もあります。

ダメージを広げない! そして真の問題に向き合いましょう!

上記の例で、幼児の言葉で、怒りに火が付いてしまったとします。「一体どんな躾をしているの?」と、あとで幼児の親に食ってかかれば、「小さな子供から見れば、みんな、おじさん、おばさんよ。それに、あなた、太ったのは確かね」などと、言い返されて、おしまいかも。怒りのやり場が無いまま、ウチに帰れば、箱ごとアイスクリームを食べてしまった、あるいは、デパートで衝動買い、場合によっては、それだけで済まず、やけ酒をして、どうやって帰宅したか覚えが無い……。こうした行動は冴えない気分を更に冴えなくさせ、それが、再び問題行動を取らせる傾向があります。この悪循環は何としても避けたいもの!

その為には、冴えない気分を発散させる手段には慎重を期して下さい。有酸素運動、カラオケなど、個人個人に適したもので、なおかつ、長期的に見て、日常生活に深刻な問題を起こさないものを、普段から取り入れていきましょう。そして、心が大きく傷つく、真の原因であった、何らかのコンプレックスや心の葛藤には、敢えて目を背けず、現実は現実として受け入れて、自分の心の痛みだけでなく、他人の痛みも感じられる余裕を持ちたいものです。

最後に、もしも心が大きく傷ついてしまった場合、心の病気に近くなる可能性もある事には、ご用心下さい。例えば、もしも、気持ちが冴えず、イライラが強くなり過ぎて、やるべき事が手に付かなくないといった状態が、2週間以上持続しているようなら、うつ病などの可能性もあります。是非、精神科(神経科)受診をご考慮ください。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
※当サイトにおける医師・医療従事者等による情報の提供は、診断・治療行為ではありません。診断・治療を必要とする方は、適切な医療機関での受診をおすすめいたします。記事内容は執筆者個人の見解によるものであり、全ての方への有効性を保証するものではありません。当サイトで提供する情報に基づいて被ったいかなる損害についても、当社、各ガイド、その他当社と契約した情報提供者は一切の責任を負いかねます。
免責事項

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます