ミサワホームはプレハブ住宅のハウスメーカーであり、これまで木質系と鉄骨系の二つのブランドを有していました。ですから「MJ Wood」はサードブランドという言い方ができるかもしれません。まず、工法や構造上の特徴と、開発の背景についてご説明したいと思います。
「MJ Wood」は、正確にはミサワホームの関連会社「ミサワMJホーム」(2011年7月設立)が販売している住宅のブランド名です。工法は木造軸組であり、ミサワホームがこれまで供給してきたプレハブ工法の住宅ではありません。
いわゆる集成材と金物を使った「耐震木造」という位置づけ。柱と梁、筋交いで構成される伝統的な手法に、構造用集成材と接合金物、構造用合板などを採用することで、一般的な木造軸組の建物と比較して、高い剛性を備えているのが特徴です。
とはいっても、別に特別な構造というわけではありません。集成材と金物を使うことは、近年では木造軸組住宅の世界では一般的になってきました。例えば構造躯体を構成する木材も、ミサワホームグループで加工・製造しているわけではなく、各地のプレカット工場(木材加工工場)から調達しているということです。
新ブランド商品投入の背景とは?
このほか、外装材や内装材、設備機器についても、これまでのミサワホームの調達ルートとは違うスタイルをとっているといいます。通常のプレハブ住宅の場合、調達の際のルールや基準があって限定されるのですが、「MJ Wood」では基本的にはフリーチョイスとなるわけです。モデルハウスの居室内部の様子。木材をふんだんに使い、和と洋のテイストをうまくミックスしている。このあたりもミサワホームの空間づくりのノウハウがよく現れている
同時に、特に今後住宅取得の主役である若い世代を中心に雇用や所得環境の厳しさが増しています。高額なイメージが強いハウスメーカーですが、そうした中でも比較的安価で良質な住宅を供給しなければ、という機運が高まっているのです。
こんな取り組みが必要になるほど、現在、住宅を取り巻く環境は厳しくなってきているということですね。価格は、3.3平方メートル(坪)あたり、従来の一般的な商品に比べて10~15万円程度低く抑えられ、「30~35万円台」も可能ということでした。
2010年度には年間約1000棟の供給実績があり、いよいよ本格的に供給に取り組むということになったわけです。先日、そのモデルハウスを見学してきましたので、次のページで詳しくご紹介したいと思います。