良い漢字=字画の良い漢字!?
わが子には最高の名前をつけてあげたい!
ある名づけ相談で、女性のお客様が候補の呼び名を8つほどひらがなで書いて持参し、「良い漢字を教えて下さい」と言いました。私はその呼び名について、意味がよく、名前として難点のない漢字の組み合わせを20ほど書いてさしあげました。
ところがその女性は「これが字画の良い字なんですね」とおっしゃるのです。こういう話のズレはよくおきます。呼び名から作る名づけと、字画占いに従う名づけはまったく違いますから、呼び名を持参された方には、専門家としておすすめしたい漢字を書くわけです。でもお客様の言われる「いい字」というのは「字画のいい字」という意味だった、ということがよくあります。
「いや、もし字画占いに従うなら名字と字画の合う名前しかつけられません。ご自分の好きな名前を勝手につけられなくなりますよ」とご説明し、参考にある一つの方法で名字と字画を合わせた名前のリストもお見せしました。それはまったくちがう範囲の名前で、女性の希望した呼び名は入っていませんでした。
名づけのやり方を混ぜると行き詰る
「私は8つの呼び名のどれかにしたいんです」「そのほうが納得がいくでしょうね」「8つの呼び名で字画のいい字はどんな字ですか」「いや、字画占いに従うならこのように違う範囲の名前になります」「私は8つの呼び名がいいんです」「そのほうがいいでしょうね」「で、8つの呼び名で字画のいい字はどんな字ですか?」
こんな堂々めぐりの会話がしばらく続きました。名づけ相談で最も多いのが、このように違う名づけを混ぜて行き詰まるケースです。車でいえば、前進のギアにして「後ろに進まない」、バックギアにして「前に行かない」と四苦八苦しているようなもので、違うことを同時にできない、とわかるまでが大変なのです。
でもそれがわかると、お客様はほっとした雰囲気になります。「ああ、字画は気にしてもしなくても自由なんですね。気が楽になりました」と。この女性も最後は話の整理ができた様子で、2種類のリストを持ってお帰りになりました。