発想転換2)いい企業を選んで儲けるのが「株」である
株で儲ける、といえば「いい企業を選ぶ」ことだと誰でも思っています。将来が有望である企業を予め見抜いて、そこに投資をすれば、人より大きな収益を得られるというわけです。そのために、「よりよい企業はどこか」と必死になって情報を探ります。新聞や雑誌、ネットの情報を調べたり、自分なりに企業を選別する努力をします。これは当たり前の株式投資のように思えます。しかし、これも考えてみると、誰が決めたルールなのでしょうか。ここで発想転換してみたいのは「いい会社が事前に本当に分かるのか」という点です。
世の中には投資を仕事としている人がたくさんいます。しかし、ほとんどの個人にとっては、投資は副業的位置づけかそれ以下の優先度であるはずです。それでもいい会社を個人が見つけられるでしょうか。
いい企業がみつかった、と思っても、それはすでにみんなが気付いているのかもしれません。そうだとしたら今から投資しても遅く、もうとっくに値上がりしているかもしれません。
もちろん、雑誌や新聞のオススメ銘柄を丸呑みするようなやり方は人より早いということはありません。むしろ出遅れている可能性のほうが高いでしょう(予想が外れる可能性もあります)。
それに、いい会社だと思っていたら、結果として大外れ、ということもあります。情報を隠していた場合はほとんど判別不能ですし、世の中の変化が著しく業績が急落することもあります。あるいは自然災害などの影響に振り回されることもあるでしょう。誰もが優良企業だと思っていた会社が突然急落することは増えています。しかし、こうした会社の危険性を予め見分けることは困難です。
投資をしていると、ついつい「自分は優れている」と考えたくなります。だから「いい会社を見つけられる」と思ってしまいます。しかし「自分だけがいい会社を見分けられないかもしれない」と冷静に考えてみれば、株とのつきあい方も変わってきます。
お金を一極集中せず、異なる企業の株も保有するだけで、大損するリスクが大きく減少しますし、インデックス投資を選ぶだけで個別企業のリスクはほとんどなくなります(例えば東証一部上場企業全部買い、のような運用ができる。そうすればオリンパス一社、東京電力一社にのみ投資するより堅実な運用になる)。国内企業だけでなく海外の企業にも投資する方法もあります。
当たり前の「銘柄選び」が投資のハードルであるなら、それを見直してみるのも、新しい投資とのつきあい方になります。
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