賃貸併用住宅とは?
賃貸併用住宅は、同じ建物の中にオーナーの住居と賃貸住戸が共存する住宅の形態をいいます。オーナーは建物の費用を多くの場合、ローン(住宅ローンやアパートローンなどがあります)でまかなうことになりますが、その返済を家賃で支払っていくのが一般的なスタイルです。資産活用や相続税対策といった需要を狙いに、ハウスメーカーなどでは近年、賃貸(アパート)併用住宅の分野に力を入れている。ただ、都市部の立地に優れた場所でしか建てられないのが、賃貸併用住宅のネック。そしてその建設には高度なノウハウが必要となる
そんな条件である以上、オーナーとなるのは高齢者の方が多いよう。というのは建て替え以前の住宅は家族が減り、広すぎて使い勝手が悪くなることがあるからです。建て替えた住宅にはオーナー家族の最低限のスペースを確保し、残りのスペースを賃貸住戸とするわけです。
ここまでが賃貸併用住宅の大まかな考え方とメリット。その恩恵や難しさもあって、私的には「究極の都市型住宅」といえるのではないかと思っています。さてここからは、注意すべきポイント、さらには依頼先(パートナー選び)についても書いてみたいと思います。
賃貸住宅は「借り手市場」!
まず、皆さんに知っておいていただきたいことは、賃貸住宅の世界は今、かなり厳しい状況にあるということです。業界では、かなり以前から「借り手市場」、要するに貸し手より借り手が少ない状況と指摘されています。今は世帯数より住宅の数が上回っているというわけです。それは賃貸住宅の空室リスクが高いということを意味します。ですから、賃貸併用住宅を建てるべき場所はかなり限られてきます。例えば、繁華街に隣接しているエリアであるとか、駅から近いといった入居者を安定的に見込めるエリアのみということです。
街の至る所でみられる不動産会社の賃貸住宅の案内板。新たな賃貸物件が生まれていることを表すが、それは賃貸市場が非常に過当競争になりつつあることを表す。私たちが思うほど賃貸経営というのが甘くないということだ
ローン返済以外にある程度利益(前述した年金のようなもの)が出ることも必須条件となります。というのも、賃貸併用住宅は3階建てなど建物の規模がある程度大きくなり、建設費用も高額になる傾向があるからです。
ローンの返済は30年以上となるのが一般的。その分、空室リスクも高まりますから、返済に余裕があった方がいいのです。できれば、ある程度の自己資金+ローンというかたちで資金計画をするのが無難でしょう。
このほか、賃貸住戸をどんなタイプとするかもポイントの一つ。1ルームタイプの方が入居者がたくさん入って賃貸経営的に有利に感じられますが、このタイプは実は賃貸住宅市場の中で既に飽和状態。地域によっては、1ルームの賃貸建設に規制をかけている自治体もあります。
逆に現状でまだまだ量的・質的に充足していないのがファミリータイプ。このあたりの判断も賃貸併用住宅を建てる際のポイントとなります。では、次のページで依頼先について考えてみたいと思います。