「腹八分目」をどう考える?

現在行われている実験の中にはヒトレベルのものもあるかもしれませんが、まだまだ小規模であったり、多くは動物実験です。まだ人間にそのまま当てはめてよいのかどうかは明確ではありません。

研究報告の中には、腹六分目という厳しい条件もあるようですが、あまり厳しく制限すると、栄養面でのバランスをとりにくくなります。エネルギーや栄養素が不足しても健康障害は起きてしまいます。食の細いお年寄りや、やせ嗜好のある女性が、今よりもさらに控えめにするのは危険です。あくまで食べたいだけ食べるような食べ方はやめて、適量を守るという、まさに「腹八分目」が適切なのだと思います。

カロリーさえ低ければいいの?」という記事でも書きましたが、エネルギーの数値にとらわれすぎて、摂取量が少なければ何を食べてもよいわけではなく、幅広い栄養成分が必要です。詳しくは、記事をお読みください。

計算せずに、「腹八分目」にするコツ

仕事をしている多忙な現代人が毎食エネルギー計算を細かくするのは難しいのが現実です。腹八分目にするためのいくつかのポイントをご紹介します。

まずは、きちんと3回、ほぼ規則正しいリズムで食事ができているならば、まずは実験の動物のように食べたいだけ食べ続けている状態ではないと言えるでしょう。1回の食事はできるだけ1汁2~3菜を目安にバランスよくを心がけましょう。また夜遅い食事は、軽いものにしましょう。

食事と食事の間に、適量とる間食は、食の細い人や、食事が夜遅くなる人には必要な場合もあります。しかし、間食をだらだら食べ続けているようなタイプや、しかも甘いものは食べないけれどスナック菓子が好きというタイプは、油断できません。スナック菓子の中には、甘いお菓子同様に高カロリーのものもあるので要注意です。

余分な脂質はできるだけカットすることをまず意識しましょう。揚げ物よりは焼き物、霜降り肉よりは赤身の多い肉、デミグラスソースよりは和風おろしソースというように。

というのは、ごはんなどの糖質やタンパク質は4kcal/1gに比べて、脂質は9kcal/1gで、1g当たりのカロリーが2倍以上になります。もちろん脂質も必要な栄養素ですが、現代の日本人の多くは、脂質はとりすぎの傾向がみられるからです。

肉類や魚類に含まれているタンパク質も必要な栄養素です。タンパク質を控えすぎても、すぐにおなかがすいてしまい、間食をだらだらしていれば逆効果です。また特に高齢者は肉類などは避けがちですので、意識してタンパク質をとる必要があります。

例えば私は、ハンバーグでもミンチは半分で、半分は豆腐、あるいは蓮根等を加える等して、ボリューム感はありながら低カロリーにし、野菜をとりやすくしたりしています。

よく噛むことも忘れずに。

幅広い食品をまんべんなく食べた方が健康のためにはよいので、何を食べるかの前に、どう食べるかも大切です。よく噛んでゆっくり食べること。しっかり噛まずに早食いの人ほど食べ過ぎて肥満になりがちですし、噛むことで満腹感にもつながります。

できるだけ根野菜、豆類、ナッツ類などの「かたいもの」、イカ・タコ・コンニャクなどの「弾力のあるもの」、切干し大根や海草・キノコなど繊維質の多く含まれているものを選んで食べると、不足しがちや野菜や海草、豆類などを自然と選びやすくなります。

主食のごはんに、玄米や発芽玄米・雑穀などを混ぜたりするのも様々な栄養素の摂取や食物繊維をとることになり、白米だけよりもグラム当たりのエネルギーが減り、またよく噛むことにつながります。


参考/
・平成23年版 高齢社会白書・概要版 (内閣府)
・平成21年度国民医療費の概況(厚生労働省)
・『口語 養生訓』(日本評論社)
・「長寿遺伝子Sirt1」(ネスレ栄養科学意義)
・「カロリー制限が長寿をもたらす仕組み」(ネスレ栄養科学会議)
・「カロリー制限による健康効果にタンパク質プロヒビチンが関与する可能性を発見」(東京大学大学院農学生命科学研究科)
・抗老化・寿命延長におけるカロリー制限の役割(中部大学応用生物学部)
・「エイジングとアンチエイジングな食べ方/白澤卓ニ」(『月刊食生活2009/07』)
その他
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