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カレーやロングライフパン。注目の非常食市場

震災から10ヶ月がたった今でも、非常食に関する意識は高い。しかしながら、ただ「非常食」と考えるのではなく「日常食」としての「非常食」という概念が広がってきている。

川崎 さちえ

執筆者:川崎 さちえ

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「非常食」が「日常食」になる

震災から10ヶ月たったが、非常時のためにしっかり備えておこうという人は多い。特に食料についてはその考えが広く浸透している。しかしながら「非常時」という特別な時だけのために蓄えるというよりは、普段も使えるというのがカギだ。1つは賞味期限の問題がある。あまりにも長期間に渡って保管してしまうと賞味期限が切れてしまうのだ。だったら、日常でも使いながら、常に新しい物に入れ替えていけばいい。だから、以前のような「特別な非常食」というよりは、日常の中で使うけれど保存がきくものが、「非常食」の新しい定義になってくるのだと思う。

代表的なものはレトルト食品だ。震災直後には尾西食品が手がけるお湯か水をかけるだけでおいしいご飯ができてしまうα米が注目された。その後、手軽に食べることができる食品を必要とする流れが起きて、たとえばレトルトカレーも人気が出た。そんな中、温めなくても美味しく食べることができるのが、ハウス食品の「温めずにおいしいカレー」。いざというときには火を使うことができないから、これは便利。このカレーのいいところは、非常時意外でも使えるということ。お弁当がその好例だ。

またシリアルにも注目が集まっている。栄養価が高いし、甘味もあるので、これだけ食べていても非常時には対応ができる。もちろん、普段の生活の中でも食べることができる食材だ。ケロッグが有名。(非上場)

ロングライフパンが人気!?

賞味期間が長い「ロングライフパン」。日常的にストックしておいても便利だ。

賞味期間が長い「ロングライフパン」。日常的にストックしておいても便利だ。

そして震災後、一気に注目を浴びたのが「ロングライフパン」。つまり、賞味期間が長いパンだ。

これまでパンというと焼きたてが強調されてきた。しかし焼きたてパン特有の美味しさは長期間保つことが難しい。それに賞味期限の問題もある。ということは非常時に対応することができないということだ。そういった背景もあって、今は賞味期限が長いパンに関心が集まっている。賞味期間が35日~90日もあるパンを手がけるのは株式会社コモ。そしてパスコもロングライフパンをつくっている。また星野物産株式会社(非上場)のグループ会社である神田五月堂でもロングライフパンが買える。

長く保存できる食料であれば、普段使いにも十分対応できる。むしろ、これまで「非常食」と言われてきた食品の利点を考えれば、消費者が日常生活の中に取り入れないわけがないと思う。ストックしておけるのであれば、いつでも使える。これほど便利な食材はないからだ。手間を省くという意味でも、「非常食」は「日常食」になってくるのではないかと思う。
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