健康食品は品質が一定ではない
医薬品は同じ品質のものが製造・流通するようになっていますが、健康食品の名称が同じ成分でも、利用されている原材料の純度や成分量は、製造者によって様々に異なるなど、製品の品質が一定ではないため、製品による健康障害がおきた時にも原因を究明する際に障害となるそうです。また利用については、医師や薬剤師が適したものを選択しますが、健康食品の場合は個人の責任となります。
インターネットによる個人輸入に注意
家にいながらにしてお買い物ができるインターネットショッピングは忙しい現代人にはたいへん便利です。こうしたインターネットを通じて、個人輸入代行業者が、あるいは直接個人が海外の販売社から気軽に購入する事ができます。また海外からのおみやげなども個人輸入となります。海外の健康食品に含まれている成分の中には、日本では医薬品として扱われているものがあったり、日本では認められていない成分が含まれていることがあります。あくまでも自己責任で輸入したものですから、何か健康被害があっても、医薬品に関する国内法などの対象とはなりません。また違法製品の入手法のほとんどが個人輸入と見られています。
中には治療目的の人も
健康食品を使用している人の約5%は健康維持や病気予防、ダイエットなどではなく、治療目的で使用している人がいるそうです。特にガンなどの深刻な病気の患者さんは、健康食品に依存心が強くなっているケースがあり、治療の邪魔になったり、医師にだまって使用することで、病気を悪化させるおそれもあり、医療機関でも対策チームが組まれるほど、問題となっているという話を、現場の臨床医や管理栄養士から聞きました。こうした傾向を踏まえ、近年はこっそり使うのではなく、きちんと医師や薬剤師、管理栄養士と相談をして、必要に応じて特別用途食品や特定保健用食品などを中心に、治療の邪魔にならないものや、患者さんの満足度も配慮しつつ、提案するという方向になりつつあります。
手軽に使えるだけに過剰摂取に注意
野菜や果物、肉・魚などのあきらかな食品は、まだ様々な栄養素や成分が含まれています。まだあきらかにされていない成分等も今後でてくることでしょう。あきらかな一般食品は長い長い歴史の中での食経験があります。先人が様々なものを食べ続けて、安全なもの、適切な食べ方などが選別されてきました。けれども、健康食品は特定の栄養成分が含まれ、また濃縮されていますし、食経験がまだ浅いものです。「第六次改訂日本人の栄養所要量」では、栄養成分について「許容上限摂取量」が示されました。過剰摂取による健康障害を防ぐためです。健康食品の中には薬理効果を期待した医薬品と同レベルの含有量のものもあり、1日の摂取量が、この数値を超えるものもあります。
栄養成分の中には、あきらかな一般食品として摂取するには健康維持に役立っても、ビタミンAやβ-カロテン、ビタミンEなどは健康食品の形で過剰に摂取すると健康障害となるものもあることが報告されています。健康食品を利用する場合は、摂取目安量を必ず守って利用するようにしましょう。
健康食品は、あくまで補助的なものです。幅広い食品から様々な栄養素をバランスよくとる食事が基本です。仕事の都合でどうしても1日に1、2回の食事もままならない、高齢者や病気の影響で食事が充分にとれないなどといった、栄養が不足しがちな人でなければ、今の健康食品を必要になることはなかなかないのではないかと思います。
若い女性などでは「やせ願望」が強く、カルシウムや食物繊維、鉄分等が不足しがちな傾向もありますが、この場合は健康食品で補給する前に、まずは食事をきちんととることが必要です。
食事をとらずに健康食品で栄養成分が補えても、食事を通じて「噛む」ことをおろそかにすれば、健康維持にもつながません。
栄養バランスのとれた食事については、こちらの記事をご参考になさってください。