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40代以降の家計のもう一つのリスク……親の介護への対策とは

子どもに手がかからなくなった40代以降のリスクとして「親の介護」があります。教育費がかかる時期でもあり、住宅ローンがあれば繰上返済もしたいし、老後資金も準備を始めないといけない。妻もパートをするものの、教育費がかかってなかなか家や老後にまで手が回らない。そんな矛盾に苦しんでいるタイミングで親が倒れたりしたら、ライフプランそのものに影響が出かねません。どのような対策があるのか考えてみましょう。

豊田 眞弓

執筆者:豊田 眞弓

教育費 ・ 奨学金ガイド

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子どもに手がかからなくなると……次は親の介護リスクが?

もしも親が倒れて入院することになったり、あるいは、要介護状態になってしまったら……。「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」で書いたのはそのようなリスクにどう備えるかです。

若いうちはあまり想像しないことですが、子どもに手がかからなくなってくる40代半ばくらいから、そんな心配ごとが首をもたげてきます。自分の親が2人、パートナーの親も含めれば4人。兄弟姉妹の数が減る中、「親の老いを支える」ことは他人事ではなくなっています。
 
子どもに手がかからなくなると……次は親の介護リスク

子どもに手がかからなくなると……次は親の介護リスク



子どもに手がかからなくなってくる時期は、教育費がかかる時期でもあります。住宅ローンがあれば繰上返済もしたいし、老後資金も準備を始めないといけない。妻もパートをするものの、教育費がかかってなかなか家や老後にまで手が回らない……。
そんなタイミングで親が倒れたりしたら、ライフプランそのものに影響が出かねません。
 

介護はある日突然やってくる!

要介護を発症する原因で最も多いのは、認知症です。高齢による衰弱が原因の場合も、比較的多めです。認知症や高齢による衰弱であれば、通常、じわじわと進行していきます。
一方で、脳血管疾患や心疾患、骨折・転倒などから要介護となるケースも3割程度あります。まさしく介護は、「ある日突然」やってくるものでもあるのです。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査の概況」(3年に1度の大規模調査)によると、介護の担い手は、23.8%が配偶者です。次いで多いのが、「不詳」を除くと、同居の子20.7%で、さらに、別居の家族等13.6%、介護事業者12.1%、同居の子の配偶者7.5%、と続きます。

パートナーや息子など、男性が介護を担う割合もじわじわと増えて35.0%となっています。介護を担う年代としては、男女とも60代が最も多くなっています。

同調査によると、介護にかかる時間は、当然ながら要介護度が高くなるほど多くなりますが、平均でみても、「ほとんど終日」が19.3%、「半日程度」が9.4%で、「2~3時間程度」は11.9%です。

介護を担うために仕事を辞める「機会費用」まで考えると、人によっては数千万円のマイナスになることもあるでしょう。パートに出ていた妻が辞めた場合でも、家計への影響は少なくありません。

公的な介護施設もあると考えがちですが、特別養護老人ホームはエリアによっては大幅に不足しています。要介護3以上で入れる施設ながら、要介護4でもウェイティングとなっている施設もあります。

親が健康でいてくれるのが一番ですが、もしものときに介護をどうするのか。兄弟姉妹で話し合っておくことも必要です。今時は、兄弟姉妹がみんなで支え合う「プロジェクト型」が理想といわれています。
 

介護で仕事を辞める人が10万人!?

介護で疲れがたまってくると、仕事を辞めることを考える人もいます。総務省「就業構造基本調査(2017年)」によると、親や配偶者等の介護や看護のために仕事を辞める人は1年間で約9.9万人います。介護離職後に再就職をした人は4人に1人程度です。

最近は、介護は法定相続人が担う、という意識が浸透してきたこともあり、男性の割合も増えつつあります。しかし、今も女性が75%を占めます。

筆者の知人で、実母の介護で50代前半で仕事を辞め、家族と離れて「単身赴任介護」をした人もいます。結果的には10年近い介護期間になりました。

政府も「介護離職ゼロ」を掲げて情報発信などを行っています。
厚生労働省「介護離職ゼロ」ポータルサイト

 

介護で仕事を辞めると……

厚生労働省「仕事と介護の両立に関する実態把握のための調査(平成24年)」(2020年1月現在、最新)によると、介護離職をした人は、さまざまな変化に直面します。「肉体面の負担が増した」という回答も56.6%と高いものの、それ以上に「経済面の負担が増した」(74.9%)、「精神面の負担が増した」(64.9%)とかなり高くなっています。

40代、50代で離職をする機会費用を考えると、その後の収入や退職金まで合わせると、人によって1億円近いマイナスになるケースもあるでしょう。都心から地方に移って、以前と同程度の収入の仕事に就くのは難しいはず。

子どもの教育費もかかる中、仕事を辞める、転職をするという選択は、本人や家族にとって人生設計が覆る大問題です。

 

ゆとりがない中、ゆとりを持つ……

親の入院・介護は40代、50代の「潜在的リスク」といえます。経済的な負担を伴う場合(機会費用を含む)や、経済的な負担はなくても時間的な負担がある場合、あるいは両方ともかかる場合があります。

非常に難しいことではあるのですが、家計が厳しくなる中、ある程度の家計のゆとりを持つことが大事になります。住宅ローンや教育費で無理をしすぎないこともポイントになりそうです。

「親の入院・介護が必要になるときいちばん最初に読む本」(アニモ出版)に、親の入院・介護に備えるためのヒントを整理しましたので、ご参照いただけましたら幸いです。


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