第3位 『渡る世間は鬼ばかり』
震災後、ドラマでまず注目されたのがNHK連続テレビ小説・朝ドラ。放送中だった『てっぱん』は1週間の放送休止をはさんで再開後は視聴率跳ね上がり。いつも同じことをしている安心感が、日常感覚を取り戻すのに最適だったようです。続いての『おひさま』は5年ぶりに太平洋戦争をはさむ時代設定。これが震災後の苦難とあわせて共感を呼びヒットしました。ただ、前半はよかったのですが、夫・和成(高良健吾)が復員してくるあたりから失速。戦争という重しがなくなったからか、芯のないゆるいだけのドラマになってしまったのが残念。推測ですが、震災が起こったことにより厳しいことが描けなくなったんじゃないでしょうか。制作側は震災後、変えたことはない、といっていますが、無意識的な影響だってあります。
それに比べてまったくゆるがなかったのが『渡る世間は鬼ばかり』。いつもと同じように最終シリーズを突き進んでいきました。さすが太平洋戦争もくぐり抜けた経験のある石井ふく子・橋田寿賀子の超ベテランコンビはぶれません。
今年は『金八先生』がファイナル、『水戸黄門』も終了とTBS系長寿ドラマが相次いで終了。長く続けていくことの難しさも思い知らされました。
ただ『渡る世間』は最終シリーズの勢いから見て、連ドラは終わってもスペシャルはまだまだあるかもしれません。
第2位 『マルモのおきて』
震災直後に求められたのは癒し、その流れにピッタリはまったのがこちら。昨年の『Mother』で注目された芦田愛菜が引っ張り、これまで実績のない鈴木福も人気に。さらにミニチュアシュナウザー犬・マルモを加え、昔からの「子どもと動物には勝てない」という警句に忠実な布陣。その結果、下馬評では『JIN-仁-』の裏で苦戦するといわれていましたが善戦、放送終了後の盛り上がりではむしろ勝ってます。
その成功のカギとして主演の阿部サダヲがきっちり仕事をしているのも見逃せません。独身男が子どもを育てるのは『パパと呼ばないで』を思い起こす王道パターン。かつて大人気だった石立鉄男的な役回りで今後も主演作が期待されます。
ベタすぎる、も特になんてことはないといわれますが、小さな事件でドラマをおもしろくするというのは案外むずかしい。スタッフの力量を感じます。たわいないようで、意外によくできているドラマとして今年は『デカワンコ』もありました。
ただ芦田愛菜が流行りすぎて大晦日の紅白歌合戦出演がピークになるパターンになるかも。おそらくやるであろうパート2まで勢いが持つのか?というのがちょっと心配。
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