この定義で使われている「十分な勃起」について、日本性機能学会は「勃起の硬さスケール」を提唱し、グレード0から4の5段階で自己診断できる指標を示しています。これはEDを疑うための目安でもあります。
満足な性交に欠かせない「十分な勃起」に大切なのは、陰茎の硬さでしょうか、持続時間の長さでしょうか。性生活に対する調査結果などを参考に考えてみましょう。
「硬さ」の源は海綿体内部の圧力
よく知られているように、勃起は陰茎の海綿体に流れ込んだ大量の動脈血が、海綿体洞という小さな空洞を満たし、海綿体を膨らませることによって起こります。しかし、血液が流れ込むだけでは陰茎は硬くなりません。膣への挿入が無理なくできるほどの硬さを保つためには、いったん流れ込んだ血液を出さない状態にするメカニズムが必要です。
少し専門的になりますが、陰茎の海綿体が膨らむと、その周りを包んでいる白膜という組織が引き伸ばされて海綿体洞から出ていく静脈を強く圧迫して血液の流出を抑えます。
海綿体から出ていく血流が止まる一方で、動脈からはさらに血液が入ってくるので海綿体内部の圧力が高まり、挿入するのに差し支えない十分な硬さになるのです。
こんにゃくからりんごまでの5段階で診断
身近な食べ物の触感を陰茎の硬さの目安にした自己診断法も
グレード0=陰茎は大きくならない
グレード1=陰茎は大きくなるが、硬くはない
グレード2=陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない
グレード3=陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない
グレード4=陰茎は完全に硬く、硬直している
グレード0と1では、硬さ以前に、陰茎が大きくなるかならないかを目安にしています。2と3では、挿入に十分な硬さかどうかをよりどころにしているといえるでしょう。
自己診断をしやすくするため、それぞれのグレードは、1=こんにゃく、2=みかん、3=グレープフルーツ、4=りんご――の硬さに例えられています。
過半数がよりよい性生活に「硬さ」求める
東邦大学医学部が「性機能の低下がみられ、かつ性生活をより充実させたい」と考える30歳から59歳までの男性3193人に行った「よりよい性生活に関する意識調査」(2005年9月)のうち「(望ましい)陰茎の形状」に対して「より硬くなる」が54.9%と過半数を占めました。硬さ以外の選択肢では「より大きくなる」は27.7%、「より太くなる」は10.0%、「より長くなる」は7.4%でした。よりよい性生活に対する機能面でのイメージとして「硬さ」が第2位の「大きさ」のほぼダブルスコアとなっています。
「勃起の時間」に関する項目では「勃起がより持続する」が95.2%、「陰茎がより早く勃つ」が4.8%でした。
さらに「性交時に今以上の硬い勃起が実現できたときの気持ち」に対する設問では「パートナーとの性生活に満足できた」(87.2%)、「性行為の間、勃起能が十分持続する自信が持てた」(86.8%)、「自分の性行為に満足できた」(85.1%)などが高い割合を占めています。
こうした結果から、この調査では「陰茎がより硬くなり、その勃起が持続する」ことを重視する人が多いことが分かりました。
「硬さ」が導く性生活の満足度
硬い勃起は機能改善ばかりでなく男性としての自信や自尊心を高めるのにも役立つ
こうしてみると、パートナーとの豊かな性生活のカギを握るのは「十分な硬さ」といえそうです。持続時間の長さも、硬さがあってのことだからです。
「勃起の硬さスケール」の自己診断で気になることがあれば、ジェネリック商品などのED治療薬を使ってみるとよいでしょう。
ED期間3カ月以上の患者さん52人(21歳~81歳)を対象とした調査では、ED治療薬を服用した人の73.1%が「スケール」のグレード4の勃起を得られたそうです。
グレード0から3までの方にはED治療薬がとくに有効です。専門医の診察を受けて正しく服用しましょう。
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