猫ひっかき病とは……原因菌を保菌するネコとの接触で感染
愛猫家の方にとってネコは大切な家族の一員でしょう。しかし日常的にネコとの距離が近く、発熱やリンパ節の腫れが起こった場合、猫ひっかき病も疑う必要があります
ネコのダニやノミによって、ネコからネコへ感染します。ネコには症状が現れませんが、血液、口腔粘膜、目ヤニなどに菌が含まれるため、ネコと居るだけで感染することもあります。この菌を保菌しているネコに噛みつかれたり、ひっかかれたりした場合、感染する可能性が高いです。この菌を持っているネコは、日本では約10%程度で、気温の高い南の方で、オスに多いです。ネコより頻度は少ないですが、犬から感染することもあります。
この病気は、夏から冬にかかることが多いです。日本では9~12月の発生が年間の64%を占めており、発生のピークは11月と報告されています。西日本と都市部の比較的温暖な地域で多く発生しています。また、子ネコも菌を持っていることが多いです。外を出歩くようになる時期に、他のネコとの接触でノミを介して感染したり、ネコ同士で噛んだり、ひっかいたりする中で広がると考えられています。
猫ひっかき病の症状・初期症状……リンパ節の腫れ・発熱・関節痛など
主な症状は- リンパ節が腫れるリンパ節腫脹やリンパ節の痛み
- 長く続く高熱から微熱まで様々な発熱
- 関節痛
- 吐き気
これらの症状、特にリンパ節の腫れや痛みは数週間から数カ月と長く続きます。適切に診断を受けた上で、治療することが望ましいです。免疫不全のある人の場合、重症化するリスクもあります。
猫ひっかき病の診断法……血液検査でも通常は難しい確定診断
ネコと同居しているかどうか、発熱の前の10日前後にネコにひっかかれたりかまれたりしていないかがポイントです。血液検査を行った場合、白血球やCRPというタンパクの上昇が見られますが、これらは猫ひっかき病特有の症状ではないため、確定診断はできません。超音波検査やCTなどではリンパ節の腫れ具合を確認します。
検査による確定診断を受けたい場合は、血液検査で原因菌であるバルトネラ・ヘンセレに対する抗体があるかどうかを確認することいなりますが、残念ながらこの検査は一部の大学でしか行っていません。そのため、問診と症状などを照らし合わせて判断するしかなく、確定診断が難しいのです。
猫ひっかき病の治療法……自然治癒するが、早期回復のため抗菌薬も
自然に治りますが、重症化した場合や早く治すためには、特定の抗菌薬を使用します。- マクロライド系抗菌薬(エリスロシン、クラリス、クラリシッド)
- テトラサイクリン系抗菌薬(ミノマイシン)
猫ひっかき病の予防法…ネコの感染予防・人間の感染予防を適切に
まずはネコに感染させないことと、ネコとの接触を限定することが大切です。具体的には、
- 飼いネコを外に出さないこと
- 定期的なノミの駆除を行うこと
- 食べ物などを口移しで与えないこと
- ネコとの接触をさけること