年金

国民年金基金ってどんな年金なの?(3ページ目)

会社員に比べると、自営業者やフリーランスの公的年金は支給額が低めになります。自分で公的年金の上乗せを準備するとき、自営業者やフリーランスに有利な制度である国民年金基金についてご案内します。

原 佳奈子

執筆者:原 佳奈子

年金入門ガイド

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事例で検証、国民年金基金のメリット

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フリーランス夫婦の事例で検証

それでは、フリーランスの夫婦の事例で検証してみましょう。

【例】
ヤマダイチロウさん(35歳6ヵ月)はフリーのカメラマンです。奥さんのユミコさん(33歳1ヵ月)はフリーライターで、夫婦とも国民年金に加入しています(全期間納付済み)。平成23年の課税所得(事業収入から必要経費や所得控除を差し引いた金額)はイチロウさんが180万円、ユミコさんが120万円でした。イチロウさんとユミコさんは、老後資金の準備として次のようなプランで国民年金基金に加入することを検討しています。
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このプランで国民年金基金に加入すると、年額でイチロウさんは473,280円、ユミコさんは471,180円の掛金を負担することになります。平成24年の課税所得が平成23年と同額だと仮定して所得税を比較すると、以下のようになります。
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夫婦での納税額は、5万円弱少なくなります。国民年金基金の掛金は納付した全額が所得控除の対象なので、比較してみると節税効果が大きいことがわかります。

また、フリーランスであるイチロウさんとユミコさんに支給される公的年金は老齢基礎年金のみですが、国民年金基金に加入することで60歳からIII型の年金、65歳からA型の年金を受給することができます。
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(国民年金基金からの給付に加算額は含んでいません)

さらに、国民年金基金から支給される老齢年金は、老齢基礎年金と同様に公的年金等控除を差し引いた金額が課税所得となります。60~64歳までは70万円、65歳以降は120万円を上図の老齢年金から差し引くことができます。
 

国民年金基金加入後に気をつけること

ご案内した通り、国民年金基金は自営業者やフリーランスにとってメリットの大きい老後資金となります。ただし、加入対象が国民年金の第1号被保険者のみなので会社員に転職したり、事業を法人化して厚生年金の被保険者である第2号被保険者になった場合は、国民年金基金の加入資格を喪失します。また、会社員と結婚して専業主婦になり、第3号被保険者となった場合も同様です。その他に以下の要件に該当すると、国民年金基金の加入資格を喪失します。加入資格を喪失すると、それまでの納付期間に応じた年金を将来、受給することができます。手続方法などの詳細は、国民年金基金のホームページをご覧ください。

■1.海外に移住した場合
国民年金の第1号被保険者は国内居住要件を満たす必要があります。海外に移住して国民年金に加入する場合は任意加入となるので、国民年金基金に加入することができません。

■2.国民年金の保険料免除や納付猶予の適用を受けた場合
経済的な理由により、国民年金の保険料の免除(免除の種類は問いません)や納付猶予を受けている間は国民年金基金に加入することができず、加入後保険料免除や納付猶予を受けた場合は加入資格を喪失します。

■3.60歳になった場合
国民年金の第1号被保険者は60歳で資格喪失するため、国民年金基金の加入資格も同時に喪失します。ただし、2011年8月4日に成立し、同10日に公布された「年金確保支援法」により、60歳以降65歳まで国民年金に任意加入している間も国民年金基金に加入することが可能になることが決定しています(施行は公布日から2年以内)。

■4.途中の引き出しはできない
国民年金基金は積立方式の年金ですが、支給開始年齢に達するまでは途中で現金を引き出すことができません。また、加入は任意ですが1度加入すると1~3等の資格喪失理由に該当しない限り自由に解約することはできません。ただし、目的を老後資金準備に限定するためにはこれらの制約がメリットになると考えることができます。

国民年金基金の掛金は年齢が若い方が負担が少ないため、加入を検討している人は早めに手続をするとよいでしょう。また、掛金を前納すると割引を受けることもできます。「老後資金を充実させたい」と考える自営業者やフリーランスは、まず税制上のメリットが大きい国民年金基金の加入を検討してみるとよいでしょう。

※この記事は、掲載当初協賛を受けて制作したものです。

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