後遺障害の等級は性別で変わるのか

ケガが完治して整形手術などを行った後でも、顔にキズ痕が残ってしまうケースがあります。一般的に、女性に与える影響がより大きいと思われますが、男性であってもキズ痕が及ぼす影響は同等です。

ここで気になるのが男女間の差。もし後遺障害の等級に差があったら、男女平等といえない可能性があります。

顔など、見た目に影響するキズはどう判断される?

事故が起こってしまったことは不幸ですが、その後は十分な補償を受け身体的、精神的な苦痛から解き放たれる権利があります。

事故が起こってしまったことは不幸ですが、その後は十分な補償を受け身体的、精神的な苦痛から解き放たれる権利があります。

顔や頭部、首など目立つ場所のケガについて、その程度の大きさの認定基準は3段階に分かれています。

「外貌に著しい醜状を残すもの」(大)
「外貌に相当程度の醜状を残すもの」(中)
「外貌に醜状を残すもの」(小)


上記の3つの認定基準に対して、「これは後遺障害○等級」と判断されるのですが、実はこの後遺障害の等級、2011年より前は男女で差がありました。

認定基準と後遺障害等級の男女差

後遺障害には等級が付与され、それは1級~14級まであります。数字が小さいほど重大な後遺障害と判断されます。

(重い障害)1級~(軽い障害)14級


ちなみに、2011年より前の認定基準と後遺障害の等級は次のような具合でした。数字が小さいほど傷害の度合いが重くなるので、いずれの場合も女性のほうがより多くの保険金をもらえることになります。

「外貌に著しい醜状を残すもの」(大)
女性7級
男性12級


「外貌に醜状を残すもの」(小)
女性12級
男性14級


なお、現行の「外貌に相当程度の醜状を残すもの」(中)は2011年に新設された認定基準となるため、以前の障害等級は該当しません。

男女の性別を問わず、傷跡のダメージは大きいと思いますが、いま現在はどうなっているのでしょうか?

2011年に厚生労働省が障害等級を改正。いまは男女差なし

障害等級はこのように見直しがなされました。これにより男女格差が是正されたことになります。(厚生労働省発行資料より)

障害等級はこのように見直しがなされました。これにより男女格差が是正されたことになります。(厚生労働省発行資料より)

2010年5月、労災事故で大火傷を負い顔や首、上半身に酷い後遺障害を負った男性に対し、女性よりも大幅に軽い11等級が認定されていました。これに対し京都地方裁判所が認定を取り消し。6月に国が控訴を断念し、違憲判決が確定しました。

この結果を受けて、2011年2月に障害等級の男女差などを内容とする改正が行われました。それまで等級は男女別になっていましたが、男性の等級を女性の等級に引き上げるとともに、医療で相当程度軽減できる障害を「外貌に相当程度の醜状を残すもの」として新設されました。この改正により、自動車事故による後遺障害も同様に変わることになりました。

改正前の障害等級は60年以上も変わらないままだった

改正後と改正前(上の表では「現行」)を比較してみると、改正後のほうがやはり自然であるように思えます。

実は改正前の障害等級表は1947年に施行されたもの(前身は1936年の工場法)。醜状障害に関しては男女差別規定がおかれたままでした。その後、男女雇用機会均等法の制定・改定などもありましたが、この点は一切の改定がなかったのです。

男性よりも女性の容姿を重視するという社会的通念が背景にあったようですが、施行から60年以上が経過した現代においては、やはり不自然に感じます。

この改定を受けて自動車保険は、自賠責保険の後遺障害等級はもちろん、任意保険各社の後遺障害等級表もこれにならっています。現状では男女間の差が是正されていますが、ケガをしないことが一番ですね。
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