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潰瘍性大腸炎の症状・検査・治療・予後について(2ページ目)

下痢と腹痛が続く場合は、腸の慢性疾患の可能性があり、10歳頃から発症が疑われます。腸の慢性疾患の多くは炎症性腸疾患で、代表的な病気がクローン病と潰瘍性大腸炎です。今回は、潰瘍性大腸炎について説明したいと思います。

清益 功浩

執筆者:清益 功浩

医師 / 家庭の医学ガイド


潰瘍性大腸炎の治療

■食事療法
腸への負担を少なくすることが大切で、食事によっては腹痛や下痢がひどくなりますので、アルコールや刺激のある食事は避けた方がいいでしょう。

■内科治療
炎症を抑える薬が中心になります。5-アミノサリチル酸製薬、副腎皮質ステロイドなどの炎症を抑える薬、アザチオプリン(イムラン)や6-メルカプトプリン(ロイケリン)などの免疫を調節する薬が使われます。移植で使われるシクロスポリン(サンディミュン)やタクロリムス(プログラフ)がステロイドが効かない例で効果があると言われています。これらの治療中は、感染症には注意が必要です。炎症を起こす物質(TNF-α)を抑える薬、抗TNFα受容体拮抗薬であるインフリキシマブ(レミケード)の効果があると報告されています。
炎症を起こす白血球を除く、血球成分除去療法が行われることもあります。実際、本院でも、他施設に紹介し、効果があったという報告を受けました。

■外科的治療
できれば、大腸全体を切除するので、避けたいものですが、下記の状態になると手術になります。

  • 腸管から大量出血がみられる場合
  • 大腸が大きく膨らんで、腸内細菌、食事性の毒素が全身に回ってしまう中毒性巨大結腸症
  • 腸の壁が破れてしまう穿孔
  • 癌になってしまった、またはその疑いがあるとき
  • ステロイドなどの内科的治療に反応しない重症な例
  • 薬の副作用のため薬剤を使用できない場合
手術は大腸すべてを切除します。直腸を残したり、小腸を使って便を溜める事ができるようにしたりしますが、時に、人工肛門になることもあります。

潰瘍性大腸炎の予後

基本的に慢性の経過になります。治ったと見えても再燃・再発を繰り返します。完全に治ることが難しいので、できるだけ、症状のない状態をいかに長く維持するかが目標です。大腸の炎症の範囲の広い人が、大腸がんの発生が報告されていますので、定期的な内視鏡検査が必要です。クローン病より手術になる率は少ないです。内科治療と食事療法でいい状態を保つことが大切です。
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