100年店ランチ/東京の100年店ランチ

嶋村(割烹/八重洲/創業1850年)(2ページ目)

日替わりは900円、名物も1000円ちょっと。江戸・明治の時代から著名人に愛されてきた一店。今回は東京駅から徒歩圏内、八重洲エリアの割烹「嶋村」をご案内します。

菅野 夕霧

執筆者:菅野 夕霧

100年店ランチガイド

良心的な1000円前後のメニュー多数

胡麻油で揚げられた金ぷら

胡麻油で揚げられた金ぷら

扉を開けると、手前にテーブル席、奥に細長いカウンターが見えます。この日は知人と2人で12時半くらいに伺ったこともあり、1階の客席がほぼ埋まった状態。2階のお座敷へと上がりました。

嶋村は割烹を名乗る老舗店ですが、ランチメニューが豊富にあり、日替わりも含めて1000円前後が中心の良心的な価格設定です。夜は料亭としてのコース料理が中心となりますが、昼に限っては、ちょっと上品な街の定食店といった印象でしょうか。ただでさえコストパフォーマンスの面で優れている ランチ、そこに老舗ならではの歴史や技が付加される……嬉しい一店です。

同店で私はいつもメニュー選びで迷うのですが、この日は名物の1つである金ぷら丼(1200円)をオーダー。こちら嶋村では「天ぷら」ではなく「金ぷら」。金ぷら丼は、大海老2本とししとうが1つの、いわゆる天丼ですね。同行の知人は、いくらがたっぷり載った錦丼(1100円)を頼みました。


量もしっかりの名物「金ぷら丼」、「錦丼」

色鮮やかな「錦(にしき)丼」

色鮮やかな「錦(にしき)丼」

嶋村は江戸時代の『大江戸料理屋番付』で、勧進元という最高ランクに位置づけられ、明治以降も伊藤博文や井上馨、山縣有朋、久保田万次郎など、各界の著名人も通ったという名店です。小説家・永井荷風は売れる以前の日記に「早く嶋村で昼飯が食えるようになりたい」と書いていたというエピソードも……。現在のランチの価格帯はかなりお得と言えるのでしょう。

客前に出される金ぷら丼は、海老の頭がはみ出しています。そそるビジュアルですね。上蓋を開けると、ドーンと2本の美しい大海老が芸術的なお姿を……。思わず唾が出ます。

一方の錦丼。中央に赤いいくら、周囲には黄色い錦糸玉子、かけたての海苔と、こちらも負けじと鮮やかな見た目です。錦丼は錦糸玉子の下に、鮭のほぐし身やひじき、ガリなども隠れていて、食べ方によってさまざまな味が楽しめる同店オリジナルの一品です。

土曜日には江戸時代の味を再現した「幕末会席」(3800円)の提供も

土曜日には江戸時代の味を再現した「幕末会席」(3800円)の提供も

同店には、900円の日替わりランチに加え、若鶏一口揚げ(1000円)もランチの人気メニューです。私が追いかける100年店では、年配の客が多いこともあると思いますが、一人前の量が“上品”、つまり少ない店が多々見受けられます。嶋村では、総じて量はしっかりとあります。味噌汁や漬物にも抜かりないのは老舗店のそれですね。見た目もお腹もしっかりと満たし、知人とともにも笑顔で店を後にすることに。

江戸城御用達、黒船来襲の3年前から続く割烹で、ランチはいかがでしょう?


■嶋村
住所:東京都中央区八重洲1-8-6
TEL:03-3271-9963
営業時間:11:30~14:00、16:30~22:30
定休日:日・祝
地図:Yahoo! 地図情報

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※メニューや料金などのデータは、取材時または記事公開時点での内容です。

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