住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

高台でも危険あり。盛土造成地にご用心

高台なら、災害時に揺れたり、液状化する心配はないと思われがちですが、実は高台や内陸部でも危険な場所があります。それが盛土と呼ばれる造成方法で作られた土地。どんな場所かを知っておきましょう。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド

造成方法には切土、盛土の2種類
盛土にも2種類がある

盛土工事中

内陸部の低い土地を埋める工事をしていた現場。周辺にはマンション、一戸建てなどが建てられていた

傾斜地を造成するためには2つの方法があります。ひとつが切土(きりど)と言われ、固い岩盤を切り崩し、そのまま使うもので、これは比較的安全。そして、もうひとつが盛土(もりど)と呼ばれる方法で、新しい土を入れるため、その部分が柔らかくなり、揺れで崩落したり、液状化するなどの被害が想定されます。土にはいろいろな種類がありますが、多くの土は一度掘り返すと弱くなるのです。

 
図

切土、盛土の2種類を単純に図化したもの。実際には擁壁などが作られるが、詳細は略してある


また、同じ盛土でも斜面を切って埋める埋める腹付け型、そもそも低い土地を埋める谷埋め型と大きく2種類があります。前者は傾斜のある土地の造成なので、比較的分かりやすいと思いますが、後者は内陸部の一見平坦な土地でもありうるので、注意が必要です。

 

土地の造成は適切に行われてないと家屋、住民に災害を及ぼす可能性があります。そこで都道府県知事等(政令市、中核市、特例においてはそれぞれの長)は宅地造成に伴って災害が生ずるおそれが大きい市街地、または市街地にしようとする土地の区域に工事規制をかけることができます。これが宅地造成工事規制区域と呼ばれるもので、この区域内で造成をするためには、都道府県等に許可が必要になります。開発業者は、区域内では勝手に造成ができなくなるのです。

 

ちなみに許可が必要な工事は
・切土で、高さが2mを越える崖(30度以上の斜面)を生ずる工事
・盛土で、高さが1m以上を越える崖を生ずる工事
・切土と盛土を同時に行う場合、盛土は1m以下でも切土と合わせて高さが2mを越える崖を生ずる工事
・切土、盛土で生じる崖の高さに関係なく、宅地造成面積が500平米を越える工事

谷埋め盛土地

谷埋め型と呼ばれる盛土造成地。さらに元々が水田、湿地などだった場合は要注意

というもの。崖がある場合はもちろん、造成面積が500平米といえば、一戸建て数棟規模でも該当しますから、そうした場所に土地、住宅を買う場合には、不動産会社に造成工事の有無、方法などを確認したほうが良いでしょう。販売だけを担当している会社では分からないこともありますが、建設している会社なら分からないことはないはず。分からないと言う、あるいは教えてくれないという会社は避けたほうが賢明です。

 


次はすでに開発された造成地や住んでいる家の造成方法を知るためにはどうすれば良いかを見ていきましょう。

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