具体的な請求方法は?

higai

今もなお、風評被害があります。

それでは、具体的に、原子力損害に対する損害賠償をどうやって請求していけばよいのでしょう。現在、原子力損害に対する損害賠償の請求方法はおおむね以下の3つの方法があります。

 

1.仮払い法に基づく請求

2011年7月に成立した平成23年原子力事故による被害に係る緊急措置に関する法律に基づく請求です。前述のとおり、原子力に関する損害については、原子力事業者である東京電力が賠償義務を負っていますが、実際には、具体的な賠償手続がなかなか進まなかったことから、国が東京電力に代わって、一部の被害者を対象に賠償金の仮払いを行うというものです。

最も、仮払いの対象とされているのは、福島県、茨城県、栃木県及び群馬県において観光業を営んでいる方だけですので、それ以外の方は仮払いを受けることはできず、直接、東京電力に対して損害賠償を請求していく必要があります。


2.東京電力に対する直接請求

東京電力は、今回の損害賠償について、独自の損害賠償基準を発表しており(下記URL参照)、2011年9月12日から損害賠償請求の受付を開始しています。もっとも、報道等でも問題視されているように、東京電力に提出すべきとされている請求書だけでも60ページ、その書き方を記載した説明書に至っては160ページにも及ぶとされています。

このようなやり方には、被害者がよく理解できないまま安易に請求書を出してしまった場合に、本来なら受けられたはずの補償を受けられなくなる可能性があるという問題点もあります。したがって、このような複雑な書式に基づいて東京電力への賠償請求を行う場合には、過去の記録、記憶を十分に確認した上で、請求漏れがないようにする必要があります。よほどの自信がない限りは、基本的には、専門家である弁護士等に相談するか、後述の原子力損害賠償紛争解決センターでの和解仲介手続を利用した方が安全だといえます。

【参考】
主な損害項目における補償基準の概要


3.原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続

原子力損害賠償紛争解決センターとは、原子力事故により被害を受けた方の原子力事業者に対する損害賠償請求について、円滑・迅速かつ公正に紛争を解決することを目的として設置された公的な紛争解決機関のことです。被害者の申立てにより、弁護士等の仲介委員らが原子力損害の賠償に係る紛争について和解の仲介手続を行い、当事者間の合意形成を後押しすることで紛争の解決を目指すとされています。

原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介の申立は、2011年9月1日より受付が開始されています。申立手数料は無料で比較的安価な費用しかかからないというメリットがあるほか、中立・公正な立場の仲介委員が当事者の意見を調整するため、合理的かつ妥当な結論が導かれやすいだろうという点も期待されます。なお、標準仲介期間は、3か月程度とされています。もっとも、これは、あくまでも和解を仲介する手続に過ぎませんから、どちらか一方が納得できない場合には、和解は不成立となってしまいます。その場合、被害者は、別途東京電力に対して訴訟を提起する等の法的手続を利用する必要があります。

自分にあった請求方法を精査して

以上のとおり、それぞれの請求方法には特徴があります。基本的には、原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介手続を利用した方がよいケースが多いと思われますが、別途弁護士等の専門家を依頼して、直接東京電力と交渉するという方法もありえます。被害者は、自分に合った請求方法が何なのかについてよく考えて、選択していく必要があるでしょう。

なお、具体的な賠償の対象となる損害の範囲の考え方等については、文部科学省ホームページ内の「東京電力株式会社福島原子力発電所の事故に伴う原子力損害の賠償について」というページに現状における中間指針が詳しく記載されています。適切に賠償を受けるには、原子力損害に対する損害賠償に関する情報収集を怠らないことも大事です。

【参考】
東京電力株式会社福島原子力発電所の事故に伴う原子力損害の賠償について

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。