ジェントルながらスポーティな走り
新旧の簡単な識別ポイントは、丸目4灯式ヘッドライトのプロジェクターの周囲にLEDが埋め込まれているか否か。全幅が初代より大きくなち、ヘッドライトも若干大きくなっている。ボディパネルは、従来は数枚に分かれていたアルミ板を約500度に加熱して空気圧で成形したという1ピースのパネルとした「スーパーフォーミング」により、フロントフェンダーからトランクリッドにかけてのシャープなラインが強調されている
走りについて、コンチネンタルGTでは、ベントレーとして初の採用だった初代モデルより、駆動方式を4WDとしているところが大きな特徴で、これはラグジュアリークーペの中でも異例といえます。このおかげで、ドライブすると驚くほど安定しているというのが第一印象。
最近では高価格帯にいたるまで俊敏性を少々過剰気味に演出したクルマが多くなってきた中で、コンチネンタルGTはあくまでジェントル。それでいて前後の駆動力配分は、初代が50:50だったところ、2代目では先だって発売された高性能モデル「コンチネンタル スーパースポーツ」と同じ40:60とリアよりに変更され、さらに前後トレッドもワイド化されています。これらはスポーティなハンドリングを意識しての変更に違いなく、十分すぎるほどの高いスタビリティがある上で、スポーティな感覚をも与えられているのです。
最高出力423kW[575ps]/6000rpm、最大トルク700Nm/1700rpmを発生する6L W12ツインターボエンジン。2011年内には新開発のV8エンジンが追加されるという情報も
6Lもの排気量を持つW型12気筒ツインターボエンジンも、さらにパワーアップ。従来比で11kW[15ps]の向上となる最高出力423kW[575ps]、最大トルクは50Nmの向上をはたし、700Nmに達しています。さらに、可動部のフリクション低減と軽量化が図られた恩恵か、吹け上がりも軽く感じられます。0-100km/h加速は、初代より0.2秒短縮となる4.6秒と、わずかに向上しています。
トランスミッションは、同じくコンチネンタル スーパースポーツより初導入された「クイックシフト」を採用。従来と同じZF製の6速ATをベースに、シフトチェンジのスピードを初代GTに比べて約半分に短縮するとともに、1速飛ばした2速のシフトダウンも可能としたもので、さらにシフトダウン時には自動的にブリッピング(=空吹かし)を行ないエンジン回転数を合わせる機能も与えられています。
前述のとおりの加速性能に加え、最高速は318km/hとのことで、かなりの高性能車には違いないわけですが、ドライブすると、そうした驚くほどの超高性能を内に秘めていることをあまり感じさせないのも、コンチネンタルGTならではの持ち味かもしれません。もちろん巨大なトルクが2トンをゆうに超える車体をものともぜず悠然と押し出すわけですが、あくまでジェントルに加速し、ふと気づくと相当なスピードに達しているという、そんな感じのクルマです。自動ブリッピング機能もスポーティというよりもマイルドな味付けとなっています。
ダイナミックルートガイダンス、郵便番号や電話番号入力、グーグルマップ対応機能を備えた、新しいタッチスクリーンのインフォテイメントシステムを採用した先進のサテライトナビゲーションを搭載
足まわりは、減衰力を4段階に切り替えることが可能ですが、これも各段階で明確に変化するものの、最弱でも抜けたようになることもなく、最強にしても乗り心地が悪くなることはありません。あくまでジェントルなのです。
それでいて、本来はスポーティという価値観とは反対のベクトル線上にいた、こうした超高級車のセグメントにおいては、スポーティなクルマであることを節々でアピールしているのも、コンチネンタルGTならでは。この点こそ長年連れ添ったロールス・ロイスとベントレーの本質的なキャラクターの差異であり、今では別々になったからこそ、ベントレーは、こうしたスポーティな感性を大事にしたクルマを生み出すことができたのではないかと思うわけです。