鉄道/観光・イベント列車

JR東日本のハイグレード車両「なごみ」

お召し列車にも使われるハイグレード車両「なごみ」。2007年に登場以来、お召し列車、国賓乗車のほか、豪華列車ツアーとしてJR東日本各線で優雅な走りを見せている。車内の様子を中心に、一度は乗ってみたい憧れの列車を紹介する

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

豪華なハイグレード車両「なごみ」

なごみ

「なごみ」の風格ある先頭車両

JR東日本のハイグレード車両E655系電車、通称「なごみ」は、虎の子の6両1編成のみが存在する貴重な豪華列車である。

お召列車用車両は、機関車が牽引する5両の客車編成(1号編成と言う)が長らく使われてきた。しかし、いずれも製造後50~70年経過した古い車両で老朽化が進んだため、これに代わる新しい車両が企画された。けれども、お召列車の運転自体が、平成になってから年に1回あるかないかという極めて少ないものとなったため、一般の人々も乗れるような豪華列車という新たなコンセプトのもとで設計、2007年に完成したのである。

運転方法は、一般用の豪華列車として使用するときは、天皇陛下をはじめ皇族や国賓がご乗車になる「御料車」をはずした5両編成で運転され、お召し列車として運行するときだけ「御料車」を連結した6両編成で走行する。
夜の「なごみ」

夜間の「なごみ」は美しい(松本駅にて)

車両の塗色は「漆色」と呼ばれ、光線の当たり具合で褐色から紫色に色合いが変化するマジョーラ塗装が用いられている。これは日本ペイント株式会社が開発した偏光性塗料で、クルマによく使われているものだ。鉄道車両に使われるのは大変珍しい。夜間に「なごみ」を見ると、昼間以上に高貴な車体に見え、不思議な輝きがある。

団体専用列車「なごみ」

なごみ中間車

停車中の「なごみ」

豪華列車「なごみ」は、不定期の団体専用列車として走る。月に数えるほどの運転回数で、運転区間はそのつど異なる。首都圏から中央本線経由で信州へ、上越線経由で水上や越後湯沢方面へ、日光へ、伊豆へとJR東日本管内のどこへでも行く。

車両は交直流電車なので、電化区間ならどこへでも行けるし、電源用ディーゼルエンジンが装備されているので、ディーゼル機関車牽引で架線のない非電化区間へ入ることも可能だ(今のところ、営業運転での実績はない)。運行予定は、鉄道情報誌で公開されているから、走行写真の撮影自体は難しくない。しかし、豪華列車となれば、一度は乗ってみたいと思う人もいるだろう。どうすれば乗れるのだろうか?
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