鉄道/青春18きっぷ・パス

「大人の休日倶楽部パス」が万能!メリットと活用術

「大人の休日倶楽部」とは、JR東日本が主催する50歳以上の男女が対象の会員組織で、旅行や生活各種で様々な特典サービスが受けられる。その目玉とも言うべきフリーきっぷが「大人の休日倶楽部パス」だ。利用可能な路線や期間、販売箇所とともに、東日本エリアではほぼ万能とも言えるそのすごいメリットをご紹介しよう。【2018年最新情報】

野田 隆

執筆者:野田 隆

鉄道ガイド

「大人の休日倶楽部パス」とは?

入会資格が50歳以上の「大人の休日倶楽部」(通称「おときゅう」)は、JR東日本が主催する会員組織で、JR東日本とJR北海道の運賃・料金が割引になるほか、会員限定のきっぷ、旅や生活各種の特典サービスが受けられる。その目玉とも言うべきフリーきっぷが「大人の休日倶楽部パス」だ。

JR東日本、JR北海道のエリアで乗り降り自由となる「大人の休日倶楽部パス」の、その凄いメリットをご紹介しよう。
大人の休日倶楽部パス

大人の休日倶楽部パス(東日本全線用)


<INDEX>
大人の休日倶楽部の入会条件
大人の休日倶楽部パスの販売タイプ、金額、利用期間など
2018年度の販売・利用期間
大人の休日倶楽部パスで乗れる路線・列車
大人の休日倶楽部パスの特典
東日本全線パス(15000円)を利用してのモデルプラン
東日本・北海道パス(26000円)を利用してのモデルプラン
日帰り旅行を繰り返すプラン
東京~仙台1往復だけでも格安に移動できる!
大人の休日倶楽部パスのデメリット


大人の休日倶楽部の入会条件

ミドル会員用カード

大人の休日倶楽部ミドル会員用カード


大人の休日倶楽部にはミドル会員とジパング会員があり、年齢で区別される。

【ミドル会員】男性=満50歳~64歳 女性=満50歳~60歳
【ジパング会員】男性=満65歳~   女性=満60歳~

ジパング会員には夫婦会員という制度があり、どちらかが満65歳以上であれば、他方はミドル会員の年齢でもジパング会員となり、割引が受けられる。夫=65歳、妻=50歳代でも揃ってジパング会員になれる。
ジパング会員用カード

大人の休日倶楽部ジパング会員用カード


会員は、大人の休日倶楽部カードというクレジットカードを持って、決済はカードで行うのが条件となる。入会にあたっては審査があり、場合によっては会員になれないこともある。

会費

ミドル会員=年会費2575円(初年度無料)
ジパング会員=年会費4285円、夫婦会員=(2人で)7320円

運賃・料金割引率
(片道、往復、連続で201km乗車の場合、割引にならない列車、設備、期間あり)
ミドル会員=5%(JR東日本とJR北海道のみ)
ジパング会員=30%(全国のJR路線、ただし諸々の条件がある
居住地に制約はないので、関西在住で会員になっている人もいる。


大人の休日倶楽部パスの販売タイプ、金額、利用期間など

「大人の休日倶楽部」の会員最大のメリットが、年に何回か発行されるパスであり、フリー乗車区間がJR東日本、JR北海道どちらか、両方と分かれていて全部で3種類ある。
大人の休日倶楽部パス(東日本:北海道用)

大人の休日倶楽部パス(東日本:北海道用)


  1. 大人の休日倶楽部パス(東日本) 連続する4日間乗り放題で15000円
  2. 大人の休日倶楽部パス(東日本・北海道) 連続する5日間乗り放題で26000円
  3. 大人の休日倶楽部パス(北海道) 連続する5日間乗り放題で16250円

発売箇所
  1. JR東日本の窓口やびゅうプラザのみ、
  2. JR東日本の窓口やびゅうプラザ、JR北海道の窓口とツインクルプラザ、
  3. JR北海道の窓口とツインクルプラザのみ 

発売期間は、利用開始日の1カ月前から前日までとなっていて、利用当日の販売はない。また、利用開始日ごとに30000枚という発売枚数の上限が決められているので、日によっては直前に購入しようとしても完売ということもある。予定が決まったら早めに購入するのが賢明である。

3に関しては、首都圏在住者の場合、往復を航空機にして北海道内のみ鉄道でまわるのに使いたくなる。けれども、北海道でしか販売しないので、前日までに北海道入りして購入するか代理購入証を知人に渡して前もって購入してもらうなど制約がある。前日に確実に買える保証はないので(発売枚数の上限に達した場合)、3は北海道在住者向けのパスというのが実態であろう。

2018年度販売・利用期間

おおむね、年間3回が原則で、ほかに特別設定の期間が設けられることがある。

2018年度の場合は
  販売期間 利用期間
第1回 2018年5月21日(月)~6月28日(木) 2018年6月21日(木)~7月3日(火)
第2回 2018年10月29日(月)~12月6日(木) 2018年11月29日(木)~12月11日(火)
第3回 2018年12月17日(月)~2019年1月24日(木) 2019年1月17日(木)~1月29日(火)
特別設定 2018年8月3日(金)~9月7日(金) 2018年9月3日(月)~9月12日(水)

※JR東日本のみのパスは、1日遅く6月29日、12月7日、1月25日までの発売となる
※特別設定期間では、5日間有効のJR東日本・北海道パスのみ発売


大人の休日倶楽部パスで乗れる路線・列車

新幹線

パスでは新幹線の指定席にも乗れる


東日本・北海道パスでは、新幹線を含むJR東日本、北海道全線が対象になる。しかし、北海道のみのパスでは北海道新幹線には乗れず、在来線のみとなるため要注意だ。鉄道路線のほかバスで運行しているBRT(気仙沼線、大船渡線の一部区間)も乗れる。
三陸鉄道

第3セクターの三陸鉄道にも乗れる


また、JRからの直通列車が走っている路線を中心に、下記の第3セクターや私鉄路線にも乗れる。
青い森鉄道、IGRいわて銀河鉄道、三陸鉄道、北越急行、伊豆急行、富士急行、えちごトキめき鉄道(直江津~新井間のみ)

*富士急行の「フジサン特急」などの特急は自由席であれば追加料金不要だが、指定券は別払いとなる。

*東京~熱海は、在来線はJR東日本なので利用できるけれど、東海道新幹線はJR東海の管轄なので、パスの利用範囲外である。
パスで取った指定券

パスで取った指定券には料金は記載されない


大人の休日倶楽部パス1枚で新幹線をはじめ、在来線特急、観光列車など快速列車の指定席が6回使用できる。つまり、追加料金なしで全車指定の東北新幹線「はやぶさ」や秋田新幹線「こまち」にも乗れるのだ。7回目からは追加料金が発生するけれど、自由席なら回数制限はない。普通列車しか乗れない「青春18きっぷ」に比べれば快適の点では圧倒的に優れている。

なお、「四季島」「TOHOKU EMOTION」など駅の窓口できっぷを売っていない特別な列車や「びゅう」の旅行ツアーで予約する観光列車には乗れない。

また、パスの使用は会員本人限りである。家族といえども転売や貸与は一切認められない。パスを購入したら氏名を記入することになっている。


「大人の休日倶楽部パス」の特典

利用期間内にパスを提示すると、駅の売店NewDaysやKIOSKで商品が10%OFFになる。また、きっぷの有効期間中、東日本エリア・北海道エリアの駅レンタカーが特別料金で利用できる。

この他にも「大人の休日倶楽部パス」、および「大人の休日倶楽部」には様々な特典があるので公式HPで確認してもらいたい。
https://jre-ot9.jp/ticket/clubpass_benefits.html

それでは、具体的に利用例を見てみよう。


東日本全線パス(15000円)を利用してのモデルプラン

五能線の観光列車「リゾートしらかみ」や北東北のローカル線に乗って青森の温泉や秋田県内各地の散策を楽しむプランである。

■第1日目
リゾートしらかみ

五能線を走る「リゾートしらかみ」青池編成


東京9:36発(東北新幹線「はやぶさ11号」)→新青森12:35着
新青森13:58発(快速「リゾートしらかみ4号」)→ウェスパ椿山16:54着
<不老ふ死温泉滞在(ウェスパ椿山駅からは送迎バスがある。要事前予約)>
不老ふ死温泉

一度は訪れたい不老ふ死温泉


■第2日目
ウェスパ椿山11:16発(快速「リゾートしらかみ2号」)→秋田13:27着
<秋田市内散策、市内のホテルに宿泊>

■第3日目
秋田10:17発(男鹿線直通普通列車1129D)→男鹿11:13着
<男鹿駅周辺散策>
男鹿発15:38発(男鹿線蓄電池電車体験乗車1136M)→秋田16:39着
<秋田市内のホテルに宿泊>

■第4日目
由利高原鉄道

別料金とはなるが、由利高原鉄道のようなローカル線も訪ねてみたい


秋田9:15発(特急「いなほ8号」新潟行き)→羽後本荘9:50着
羽後本荘10:46発(由利高原鉄道「まごころ列車」)→矢島 11:25着 
*由利高原鉄道の乗車券はパスに含まれないので、別払い(往復1200円)
<矢島駅周辺散策>
矢島14:46発(由利高原鉄道普通列車)→羽後本荘15:27着
羽後本荘15:31発(特急「いなほ5号」秋田行き)→秋田16:04着
秋田17:10発(秋田新幹線「こまち32号」東京行き)→東京21:04着
(お土産を買う時間を確保するため、1本遅い「こまち」に乗車)

正規運賃&特急券=43980円(乗車券は、ひと筆書きの計算方法によっては異なる場合がある。特急はすべて指定席利用とした)。指定券は6回分使いきっている。
43980円-15000円=28980円のおトク


東日本・北海道パス(26000円)を利用してのモデルプラン

東京から東北・北海道新幹線「はやぶさ」に乗って新函館北斗へ行き、札幌・富良野をゆっくり観光するプランである。

■第1日目
スーパー北斗

札幌行き特急「スーパー北斗」


東京10:20発(東北・北海道新幹線「はやぶさ13号」)→新函館北斗14:37着
新函館北斗15:15発(特急「スーパー北斗15号」札幌行き)→札幌18:41着
<札幌市内のホテル泊>

■第2日目
根室本線東鹿越駅にて

根室本線東鹿越駅にて


札幌10:24発(特急「スーパーとかち3号」帯広行き)→新得12:36着
新得13:58発(根室本線不通区間代行バス)→東鹿越15:03着
東鹿越15:13発(根室本線 普通列車 滝川行き)→富良野15:53着
<富良野のリゾートホテル泊>

*災害による根室本線不通区間の列車代行バスもパスで乗車できる

■第3日目
<終日、富良野に滞在>
(ノロッコ号運転日であれば、富良野から美瑛まで往復)

■第4日目
特急「ライラック」

札幌行き特急「ライラック」


富良野12:53発(根室本線 普通列車 滝川行き)→滝川13:57着
(富良野 10:07発の列車を利用すれば、札幌12:25着となり、札幌市内で午後をゆったり過すことができる)
滝川14:32発(特急「ライラック26号」札幌行き)→札幌15:25着
<札幌市内散策、市内のホテル泊>

■第5日目
札幌10:44発(特急「スーパー北斗10号 函館行き」→新函館北斗14:09着
新函館北斗14:44発(北海道・東北新幹線「はやぶさ26号」)→東京19:04着

正規運賃&特急券=63530円(乗車券は、ひと筆書きの計算方法によっては異なる場合がある。特急はすべて指定席利用とした)。指定券は6回分使いきった。
63530-26000=37530円のおトク


日帰り旅行を繰り返すプラン

仕事や家庭の事情などで、4日も5日も連続して旅行できないという人もいることだろう。しかし、例えば日帰りで2日ほど出かけるだけでもお得な旅が楽しめるのである。

■第1日目  特急「しおさい」で千葉県・銚子へ
特急「しおさい」

日帰りに手ごろな銚子へは特急「しおさい」で


東京10:43発(総武本線特急「しおさい3号」銚子行き)→銚子12:30着
銚子電鉄で犬吠埼へ(銚子電鉄は別料金、弧廻手形=700円)
銚子16:38発(特急「しおさい12号」東京行き)→東京18:27着(土休日は18:29)

東京~銚子を特急しおさいで往復すると、7220円

■第2日目 北陸新幹線に乗って別所温泉(長野県)へ日帰り温泉旅
別所温泉

北陸新幹線と上田電鉄を乗り継いで別所温泉へ


東京11:04発(北陸新幹線「あさま607号」長野行き)→上田12:36着
上田電鉄で別所温泉へ日帰り入浴(上田電鉄の温泉企画切符「あいそめ湯ったりきっぷ」=1340円、別料金)
上田16:36発(北陸新幹線「あさま624号」東京行き)→東京18:12着

東京~上田を北陸新幹線で往復すると、12940円

2日間で正規の運賃・料金20160円(JRのみ)のところ15000円だから5160円のおトク

これなら平日は休みの取れない人、2日しか休みが取れない人でも可能なプランであろう。


東京~仙台1往復だけでも格安に移動できる!

仙台駅

「杜の都」の玄関仙台駅


また、たとえば東京~仙台を東北新幹線で往復すると、「やまびこ」自由席でも20740円(片道10370円)なので5740円おトクになり、30%ほどの割引往復きっぷとして使える。もちろん、現地で松島や作並温泉までJR仙石線や仙山線で出掛けても追加料金は一切かからない。

あるいは旅ではなく、仙台へ単身赴任している人が、金曜の夜に東京まで新幹線で帰り、月曜の朝、仙台へ戻るためにパスを使うことも(利用期間内であれば)可能だ。

この場合「はやぶさ」を使うと、片道11200円と「やまびこ」よりも割高になるけれど、パスなら15000円と変わらない。


「大人の休日倶楽部パス」のデメリット

激安で新幹線の指定席にも乗れると、いいことづくめのようなパスであるが、もちろんデメリットもある。

まず、パスの利用期間が観光旅行のベストシーズンではないこと。閑散期だからこそ、安売りしているとも言える。特に、北海道や東北は冬の寒さが厳しい上、列車の遅延や運休も少なくない。それを承知の上で出掛けるなり、暖かいエリアへのミニ旅行を繰り返すなりしたい。

高齢化の影響もあって、会員が増え続けている。利用期間内の日によっては、早々と発売枚数の上限に達し、完売で買えないこともある。予定を立てて早めにパスを購入するのが賢明であろう。
冬の車窓

冬の東北は日が暮れるのも早く車窓を楽しめる時間は短い


また、パスを有効に効率よく使いたい人が多いためか、利用期間中の朝の「はやぶさ」「こまち」は満席のことがザラである。会員のみならずビジネス客の利用も多いので指定券の争奪戦は激しい。

そんなときは、盛岡あたりまでは「やまびこ」を使い、そこで「はやぶさ」に乗り換えるなり、時間帯をずらすなりすると指定券を確保できる可能性が出てくる。ポピュラーなスケジュールにこだわらず、柔軟にプランニングしたいものだ。

エリアがどうしても東日本に偏ってしまい、中々西日本方面へ足が向かなくなる。会員限定の「北陸フリーきっぷ」ならJR西日本の小浜が最西端なので、そちらへも目を向けたいものだ。

ともあれ、激安とも言える「大人の休日倶楽部パス」なので、50歳以上の人はうまく使って鉄道旅行を楽しんで欲しい。


大人の休日倶楽部(公式サイト)
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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