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輪島塗の宿 能登半島のスーパー民宿「深三」

伝統工芸の輪島塗。この塗が全館に使われた贅沢な民宿が「深三」だ。食器をはじめ風呂までにも漆が使われいる!輪島といえば朝市が有名なほど一年を通じて豊富な魚が手に入る。その新鮮な魚をご主人自らが捌いてくれる食事は、能登の郷土色にあふれていてホッとする味。こんな類をみない特別な宿。あなたも訪ねてみませんか?

山田 祐子

執筆者:山田 祐子

旅館ガイド

輪島塗の小さな宿

深三

お母さんたちとの触れ合いも楽しい朝市

全館に「漆」がふんだんに使われた民宿が能登半島の輪島にある。民宿としてのクオリティは、おそらく日本で三本の指に入るであろう。

その民宿とは、輪島市にある「深三」だ。 深三の特徴はその建物。使われる器や道具だけではなく、館全体に漆が使われている宿なんて全国を探してみても無いのではないかと思う。

輪島の朝市が行われる朝市通りから歩いて5分ほどの日本海に面した海岸通り沿いに立つ4室の小さな宿だ。こぢんまりとした部屋だがご主人の趣味が「掃除」というだけあって清潔なのが嬉しい。全室が海に面しているので、夕暮れ時には窓を開けてのんびりと過ごすことができる。

 
深三

伝統的技法で作られた宿はどこか郷愁をかきたてる



輪島へ行こう

輪島へは金沢からの高速バスが便利で、東京便が飛ぶ能登空港も経由してくれる。輪島で何と言っても有名なのは、朝市。お楽しみは翌朝にとっておくとして、輪島に着いたら、宿に向かう途中にある朝市通り(本町商店街)と重蔵神社に挟まれた「わいち商店街」の町歩きをおすすめしたい。

この商店街は昭和の初期頃には港町の歓楽街として賑わい、かつてあった輪島駅から朝市への観光客の導線として多くの人が往来したという。平成に入り若者中心に街づくりが進められてきた。

深三

こんな普段使いができるのも魅力

なかでも、「輪島工房長屋」では実際に工房内で作業している職人さんたちと会話をすることができるので、輪島塗の豆知識を仕入れるにもちょうどいい。

輪島塗をついつい欲しくなったら立ち寄りたいのが「ギャラリーわいち」。ここでは伝統的というより現代の生活にも馴染むような輪島塗の食器やアクセサリーが置かれているから見るだけでも楽しい。手頃な値段なので普段使いのものを2、3点買ってもいいし、お土産にしても喜ばれるだろう。

さあ、散策がひと段落したら宿に向かおう!

 


風呂桶まで漆塗り!

宿は、わいち商店街から歩いて5分程度で着く。
門をくぐると、圧倒される威風堂々のその建物は、地元建材の杉やヒバを使い柿渋下地総拭き漆塗りである。玄関に掲げられた宿の看板は良く見れば漆塗りの桶。中に入ると明るい日差しが差し込み、拭き込まれた柱や梁が黒く光っている。
深三

黒光りする廊下や柱が美しい館内

一階は食事処となっているが、客数が少なければ個室でいただけることもある。平日がおすすめだ。

トイレと洗面場は共用だが清潔で小綺麗にされていて、廊下には輪島塗の古民具が品よくディスプレイされ生花も華やか。女性でも気持ちよく泊まることができる。

そのほかにも館内や客室の随所には、洗練された小物や備品類が散りばめられていて、小さい宿ながらもセンスが光る。

深三

風呂の天井や壁までもが拭き漆

驚くのは一階のお風呂。風呂桶と風呂椅子までも輪島塗! そして天井と壁までもが拭き漆が施されている。温泉も引いているという広めの浴室は、貸切風呂にできるのも贅沢なところ。4室しかない小さな宿ならではの魅力だ。

そして、お楽しみの夕食は、次ページで!
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