【現状認識】合計特殊出生率1.37人
誰もが安心して、子どもが産み育てられる国に
現代の女性は、一人当たり何人の子どもを産んでいるのでしょうか?それを表わす数字を、合計特殊出生率と言います。2008年の厚生労働省の「15~49歳までの女子の年齢別出生率を合計したもの」調査では、1.37人と報告されています。日本では、1974年に2.05になり、長期的に人口を維持できる水準(人口置換水準)の2.07を下回ってからは、この30年以上は下がる一方です。30年前から少子化の傾向は見えていたにも関わらず、大きな変化をもたらす政策がありませんでした。
【現状認識】10年で35歳の男性の年収は、平均で200万も低下
まず、「結婚していても、安心して子どもを育てられない」要因になっているのは、経済力の確保が難しくなっていることです。「女性が結婚に躊躇する理由」で紹介したように、この10年で35歳の男性の年収は、平均で200万も低くなりました。経済不安はここ2,3年のリーマンショックに始まったのではなく、この10年でじわりじわりと浸透していたのです。その結果、自分が受けた教育水準を子どもにも歩ませたいと思っても、それすら叶えることが容易ではなくなってしまったのです。夫婦二人暮らしの生活費以外に、子どもの養育費を確保するためには、少なくとも夫婦で共働きをしないと難しいのです。
【現状認識】経済力を確保したくても、子どもが預けられない
しかし、共働きの望みを打ち砕くのが、保育所の不足です。どれ位足りないのかは、待機児童数に表れています。待機児童とは、保育所(認可保育所)入所申請をしているにも関わらず、定員がオーバーして、保育園に入所できない子どものこと言います。実際は、申請を出しても受け入れられないことを知り、申請を提出せずに、外に働きに出ることを諦めている専業主婦は山ほどいるようです。そのため、待機児童数の実態は、何倍もいるでしょう。また、保育園では年齢ごとに定員が決められていますが、2009年の待機児童数では、下記の表でも分かるように、半数以上が、1、2歳児です。この年齢に集中するのは、産休を終えた母親が子どもを預けて職場復帰したいと考えるからです。