2度とみられないかもしれない、レアモデルたち
さあ、お次は場所をラグナセカに移動して、レアフェラーリを探してみよう。250系(GTO、TR、SWB)はもはや珍しくもない感じでそこらじゅうに見つかるし、275系に至っては、立ち止まってみる人も少ない! あえて採り上げるとすれば、これ。跳ね馬の紋章を付けた戦前のアルファロメオのV8モノポストグランプリカー。エンツォ・フェラーリさんがアルファロメオのレーシングドライバーやチーム監督をしていたという歴史的なアカシ、である。
ラグナセカで行われるクラシックカーレースには、戦前のグランプリカーから70年代のF1、80年代のCカーまで、盛りだくさんのカテゴリーがあって、見飽きない。本戦は土曜と日曜の2日間開催されているが、日曜の午前中はペブルビーチのコンクールを見物しなければならない。
今年のペブルビーチには、なんと20台以上のフェラーリ250GTOが集った。跳ね馬界で最も人気のある、そしておそらく売りに出されれば最も高いフェラーリだろう。生産台数、わずかに36台。そのうちの20台以上が一同に集い、さらにそのうちの数台はラグナセカのレースにも全開出場した!
集った250GTOたちを仔細に観察すると、誰もが面白いことに気付く。1台1台、その表情やライン、仕様が微妙に違うのだ。そもそもこのクルマがレーシングカーとしてこの世に生を受けたことの、これまたアカシである。
そのなかで、特に目立っていたのが、これ。61年式の250GTスペリメンターレ・ピニンファリーナクーペ。そうGTOじゃないのに、なぜここに?? 実はこれ、GTOプロトタイプとして有名な個体だった。プロトとはいえ、実際のレースヒストリーもある貴重なモデル。
GTOブースを離れても、ペブルビーチ的フェラーリの衝撃は続く。王族スペシャルオーダー品がよく出展されているが、今年の目玉は、この54年式375MMピニンファリーナ・アエロディナミカ・スペチアーレ。ベルギーのレオポルド二世が注文した2台目のフェラーリだった。
そして最後にもう1台。何年か前に同じペブルビーチで見かけて、感動した個体が、ふたたびその姿をみせてくれた。筆者と同い年、65年生まれの250LMピニンファリーナクーペ。250LMといえば、GTOやTR、SWBと並んで250ショートホイールベースレーサー四天王の1台で、世界中のマニア垂涎のまと。見たことのある方も多いと思うが、コイツはさらに激激レア。なんとたった1台のみ、ジュネーブショー用に作られた250LMのロードカーだった……。