・向附
お造り

向附はウサギが描かれた古染付写しの器で

向附は村田森さんの古染付写しの器(ウサギ)で、淡路の「鯛」、青森の「よこわ」と「長芋&山芋のすりおろし」という内容。

淡路の鯛はプリプリで旨味もたっぷり、青森のよこわも上質で、添えられたすりおろしも「長芋」と「山芋」のブレンド、大根のケンも手刻み、と実に細やかな仕事が施された一皿となっています。魚介のセレクションや工夫の凝らし方も素晴らしいですが、料理も器も楽しめるサービス精神も、さすが!

・八寸
ススキ

季節感あふれる演出

そして、今回(良い意味で)もっとも驚いたのが、この初秋の八寸! まずは水引付きの本物の「ススキ」を乗せた蒔絵の縁高の御登場。もうこの美麗な演出だけで気分が高揚してきます。
八寸

秋が凝縮された八寸

蓋を開けると、萩の葉が目を惹く盛り付け! まさに食べる芸術です。内容は、「松坂牛と青唐辛子の串」、「雲丹のゼリー寄せ」、「車海老の揚煎餅」、「鰆の幽玄焼」、「小芋の衣被」、「穴子鮨」、「茶豆」と贅沢な7種盛り。特に雲丹ゼリーの甘いテイストと食感、松坂牛の旨味、車海老を豪快に使った上げ煎餅のサクサクもっちり感は記憶に残る出来栄えで、そのどれもが作りたての温かさでしたし、穴子鮨の柔らかさは出来たてならではの美味しさ。料理への妥協を一切しない、高木料理長の入魂の一皿といえるでしょう。

これが5775円コースの八寸とは畏れ入りるというか、まさに芦屋の奇跡。まっこと感服です。

・加茂茄子の田楽
加茂茄子の田楽

加茂茄子の田楽

続いて、多治見のある女流作家さんの器で供されたのは「加茂茄子の田楽」。器も素敵ですが、まるでお花畑のようなルックスの美麗さは女性なら悶絶モノでしょう! 男の私ですら、これには見惚れてしまうほどでしたが、その内容もすごいことになってます。

まず、田楽味噌には「鱧の子」が練り込まれており、さらに出汁で薄く伸ばすことで田楽味噌特有のくどい濃さが、食べやすい上品な味わいになっているんです。しかも! 田楽の上にはシャラン鴨と三度豆、粟麩の揚げ物、紫蘇の花が散らしてあり、見た目だけではなく、食感や旨味の複雑さ・奥深さが生み出されているのです。

さらにさらに、使われている加茂茄子も朝とれたての茄子を使用されているので、一口毎に加茂茄子が持つ真味と鮮度が伝わってきますし、この加茂茄子自体が芦屋の野菜王子こと福原さんが届けられたものなので安心安全・質の高さも抜群なのです。

最高の素材と、それを活かしきる料理長の実力。美味しいのはもちろん、食べていても身体が喜んでいる気さえする逸品でしたね。

次ページでは、飯物や水菓子などを御紹介します