紹介予定派遣の普及が十分に進まない一因は、派遣先で直接雇用に転換するルートは他にもあることがあげられます。派遣中の引き抜きや、自由化業務の抵触日後に、直接雇用になるスタッフは少なくありません(労働政策研究・研修機構「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査(派遣元調査)」)。
また、通常派遣と紹介予定派遣では、派遣会社と派遣先企業のやりとりが異なるため、営業効率を追求する派遣会社では、積極的に紹介予定派遣を推進するに
いたっていないという事情もあります。
気をつけたい紹介予定派遣の「落とし穴」
この調査には、もうひとつ気になる点があります。紹介予定派遣経由で、正社員になるのは6割、4割弱は契約社員やアルバイトになっていることです。紹介予定派遣は正社員への転換制度と考えられがちですが、正しくは「直接雇用」への転換制度です。直接雇用には、契約社員やアルバイトも含みます。
紹介予定派遣の知識があまりない方が誤解しやすいポイントをまとめておきます。
紹介予定派遣の誤解しやすいポイント
- 派遣期間終了後、必ず採用されるとは限らない
- 正社員ではなく契約社員やアルバイト契約になることもある
- 派遣期間よりも、給与が下がることがある
派遣先での直接雇用を望むなら?
すでにみてきたように紹介予定派遣はメリットの大きな仕組みです。ただ、希望者全員がその仕組みを使えるわけではありません。そういう状況下で直接雇用につなげるなら、何ができるでしょうか?直接雇用にスイッチするための処方箋
- 派遣会社の担当者に希望を伝えておく
- 派遣先の職場にも希望を伝える
- そして、仕事を頑張る
派遣先の職場に対しても同様で、直接雇用のポジションがあいたときに、「○○さん、希望してたな」と思いだしてもらえる可能性があります。逆に、そのような希望が伝わっていない場合は、派遣先が非常に積極的な場合や、自由化業務の抵触日のようなきっかけがない限り、チャンスがめぐってきません。
前述したように、紹介予定派遣以外のルートでも、派遣から直接雇用になるスタッフは少なくありません。だからこそ、非常にベーシックなことですが、希望を周囲に伝え、仕事にまじめに取組み、それに見合う能力があることを発揮しておくのが、チャンスを得ることにつながっていきます。