派遣で働く/派遣の基礎知識

紹介予定派遣の理想と現実(2ページ目)

2004年に解禁された「紹介予定派遣」。10年たっていない働き方ですが、その仕組みには大きな期待が寄せられています。紹介予定派遣の仕組みを簡単に整理したうえで、現状についてまとめておきます。

中村 天江

執筆者:中村 天江

派遣で働くガイド


紹介予定派遣の普及が十分に進まない一因は、派遣先で直接雇用に転換するルートは他にもあることがあげられます。派遣中の引き抜きや、自由化業務の抵触日後に、直接雇用になるスタッフは少なくありません(労働政策研究・研修機構「人材派遣会社におけるキャリア管理に関する調査(派遣元調査)」)。


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直接雇用のルートはさまざま(クリックすると拡大します)


また、通常派遣と紹介予定派遣では、派遣会社と派遣先企業のやりとりが異なるため、営業効率を追求する派遣会社では、積極的に紹介予定派遣を推進するに
いたっていないという事情もあります。


気をつけたい紹介予定派遣の「落とし穴」 

この調査には、もうひとつ気になる点があります。紹介予定派遣経由で、正社員になるのは6割、4割弱は契約社員やアルバイトになっていることです。

紹介予定派遣は正社員への転換制度と考えられがちですが、正しくは「直接雇用」への転換制度です。直接雇用には、契約社員やアルバイトも含みます。

紹介予定派遣の知識があまりない方が誤解しやすいポイントをまとめておきます。

紹介予定派遣の誤解しやすいポイント
  • 派遣期間終了後、必ず採用されるとは限らない
  • 正社員ではなく契約社員やアルバイト契約になることもある
  • 派遣期間よりも、給与が下がることがある 
     
     

派遣先での直接雇用を望むなら? 

すでにみてきたように紹介予定派遣はメリットの大きな仕組みです。ただ、希望者全員がその仕組みを使えるわけではありません。そういう状況下で直接雇用につなげるなら、何ができるでしょうか?

直接雇用にスイッチするための処方箋
  • 派遣会社の担当者に希望を伝えておく
  • 派遣先の職場にも希望を伝える
  • そして、仕事を頑張る
     
まず、今すぐに紹介予定派遣を使えなかったとしても、派遣先での直接雇用を希望していることを派遣会社の担当者に伝えておくことが重要です。次に紹介予定派遣の募集がでたときに教えてもらえたり、紹介予定派遣でなかったとしても、社員への登用を積極的に行っている派遣先を優先して紹介してもらえる可能性があるからです。ガイドが以前行った研究でも、「派遣会社への積極的な働きかけ」の有無が、派遣スタッフの就業を左右する大きな要因になっていました。

派遣先の職場に対しても同様で、直接雇用のポジションがあいたときに、「○○さん、希望してたな」と思いだしてもらえる可能性があります。逆に、そのような希望が伝わっていない場合は、派遣先が非常に積極的な場合や、自由化業務の抵触日のようなきっかけがない限り、チャンスがめぐってきません。

前述したように、紹介予定派遣以外のルートでも、派遣から直接雇用になるスタッフは少なくありません。だからこそ、非常にベーシックなことですが、希望を周囲に伝え、仕事にまじめに取組み、それに見合う能力があることを発揮しておくのが、チャンスを得ることにつながっていきます。

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