自分の子どもの名前を自分で決められない
いくら優柔不断な人でも、子どもの名前を人に決めてもらおうとするのはダメ
植物とか花を表すような名前がお好きだと言われました。そういう名前は非常に多いので、私もあらかじめ名前のリストを作成して持っています。そしてそのような希望者には、いろいろご説明しながら、そのリストをお渡しし、お持ち帰りいただくわけです。
たくさんの名前が書かれたリストですから、普通はお客様はそれを持ち帰り、ゆっくりとその中からご自分の好きな名前を選ぶのです。そういうリストはうっかり第三者に見せますと、口を出される恐れがありますから、子を育てるご両親だけで見て、話し合って、好みの名前を選ぶのがいいのです。答えは両親が決めることであり、他の人が答えを持ってはいないのです。
ところが母親が、「この中でどれがいいんですか」と聞くのです。「どれも難点のない名前ですからランクづけはできません。ただ、ご両親が好みでないものは、つけてはいけないのです」と申しあげても、「で、先生はどの名前がおすすめですか」と、ニコニコしながら、何度も何度も同じことを聞くのです。「いや、ですからご両親が好みで選ぶ名前が答えなのです」と何度も申しあげているうち、デパートの係の人が「そろそろ時間です。次はOOさんです」と告げました。私も「やっと解放された」とほっとし、「OOさんはどこかな」と見回しましたが、誰も居ません。するとその母親が、「OOさんというのは私達です。別の名前で次の時間も予約しました」と言われたのです。何てしつこい人か、と少々気味が悪くなりました。
子どもの名前を決めるのは両親の役目
そのうちさすがの私も、同じ会話をくり返すのに疲れはて、仕方なくリストの中から適当な名前を一つ選んで、「じゃあ、これにしたらどうですか」と言いました。すると母親はニコニコしながら、「どうしてその名前が一番いいんですか」と聞くのです。もう、窮鼠猫を噛むという心境です。「どうしてだか知りません。どうしても一つを選べと言われたから、理由もなく選んだだけです」とはっきり申し上げました。するとその母親は、「これで決められるね」と娘さんに言いながら、ニコニコしながら帰られました。自分で絶対にものごとを決めない、他人が答えをもっていると思い込む人はたまにいます。でも、名づけは、最後の答はご両親がもっているのだということは忘れないでほしいことです。