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ドラマを見るのが当たり前でなくなったので書きました(2ページ目)

今回は一味違ったドラマ本『なぜ取り調べにはカツ丼が出るのか?』の著者インタビューしました。カツ丼は刑事の人情の象徴、既存のパターンを最も詰め込んでいるのは韓流ドラマなど興味深いはなしを聞けました。もっともびっくりしたのは本を書いた理由が「ドラマを見るのが当り前でなくなったから」。その意図するところは?

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド


ドラマを見ることが当たり前でなくなった

中町:
日本大学教授undefined中町綾子

 日本大学教授 中町綾子

もう一つ、この本を書いた目的にテレビドラマを見ることが当たり前のことではなくなったということがあります。
2010年に雑誌の「anan」で「テレビ大好き!」という特集があり、その中の座談会への参加を依頼されました。「anan」でテレビの特集を組むのは初めてだったそうです。以前はテレビを見るのが当たり前のことだったのに、今はそうじゃなくテレビのおもしろさを伝えなければ見られない時代になったということです。

大学の放送学科でもドラマをほとんど見ないという学生もいるくらいです。だからドラマのおもしろさを伝えるために、一つ一つのシーンにはこんな意味がある、と解説しています。


パターンを詰め込んだのは

ガイド:
既存のパターンを詰め込んだドラマの代表を教えて下さい。

中町:
『冬のソナタ』などの韓流ドラマがそうです。

ヒロインの繊細な心理描写は日本の70~80年代の少女漫画を思わせます。出生の秘密や敵役、病気や事故をストーリー展開の軸とするのは大映テレビのパターンですし、ロケーション撮影を贅沢に盛り込み、凝ったカメラワークで盛り上げる映像表現は日本の90年代のトレンディドラマが得意としていました。
韓国では以前は日本文化の輸入を制限していましたが、90年代から徐々に開放していきました。岩井俊二監督の映画『Love Letter』が韓国で大ヒットするなど強い影響を与えています。韓流ドラマにはそれらの要素が取り込まれているのです。

日本のドラマでは、学園ドラマや恋愛ドラマで断片的にベタが見られます。それはそれで楽しいのだけれど、どうしてもギャグっぽくなってしまう。ベタになったということは古くなったということで、表現としては避けられてもいます。見る方も新しい表現を求める気持ちのほうが強いと思います。

ガイド:
ありがとうございました。


「ベタ」の復活は難しい

お話をきいていて一つベタ表現を思い出しました。「熱血教師とマドンナ先生は一つ屋根の下に住む」です。
1980年前後に学園ドラマを大きく変えたこの二作、『熱中時代』教師編(水谷豊と志穂美悦子)と『3年B組金八先生』の第1、第2シリーズ(武田鉄矢と名取裕子)で同じ家に下宿しています。これは公私含めて二人の関係をより近づけることが理由でしょうか。
ただ「下宿」ということが一般的でなくなりこのパターンはなくなりました。

ところが今年になって突然復活、二作品に登場しました。一つは建設現場の所長(江口洋介)が元校長(岸部一徳)に請われて母校の民間人校長になる『スクール!』。主人公は妻子を亡くし工事現場を渡り歩いていたため元校長の家に下宿、非常勤講師である孫娘(北乃きい)と同居します。

もう一つはスペシャルの『熱中時代2011』。前作の設定にあわせて校長宅に多くの先生が下宿しています。しかも校長役が船越英二だったのに対して今回の校長役は実子の船越英一郎とあわせてきました。

ただ『スクール!!』『熱中時代2011』とも視聴率は低迷。やはり時代に則していないパターンの復活は難しいのでしょうか?

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