ドナーカードがリニューアル
「臓器提供」とは、臓器の機能障害者のために、死の宣告をされた後に、心臓、肺、肝臓、腎臓、角膜、鼓膜、骨髄などを提供することをいいます。臓器提供を希望する人は、インターネットで意思登録をするか、臓器提供意思表示カード(ドナーカード)・シール、被保険者証や運転免許証の意思表示欄などで示すことができます。臓器提供の意思の有無のほか、脳死判定後あるいは心臓死後の提供可能な臓器の種類を指定することができます。なお、ドナーカードは2011年7月17日に新しくなりました。これまでの意思カードは今後も有効ですが、できるだけ新しいドナーカードに書き直しておくほうが良いでしょう。カードは郵便局、保健所、市区町村窓口、ハローワーク、運転免許試験場、コンビニエンスストアなどで入手することができます。
葬儀は通常スタイルで
臓器提供に要する手術は、提供する臓器によっても異なりますが、だいたい2~5時間ほど。ご遺体は臓器を摘出した後、まもなく遺族の元に戻ってきます。臓器提供をしたからといって、葬儀の流れや作法に違いはなく、通常の流れに準じて通夜、葬儀・告別式が行われます。ただこれはあくまで一般論で、日本は臓器提供件数が諸外国と比べて極めて少ないため前例となるお手本がなく、無難な葬儀スタイルに落ち着いてしまっている……というのが実情のよう。
最近の葬儀は簡素化、個人化が進んでいますが、できれば火葬のみで済ます直葬(ちょくそう)は避け、親しい友人・知人を招いてゆったりとお別れしたいもの。ひと言で臓器提供といっても、その結論を出すまでには、故人と遺族の並々ならぬ決心があったことでしょう。中には「本当にこれで良かったのか。」と後に自責の念にかられる人も少なくありません。一緒に死を見つめる人が近くにいるだけで、ずいぶんと心が楽になるものです。
臓器提供を公表するか否かについても決まりごとはありませんので、家族間でよく話し合って決めましょう。公表する際は、葬儀の際にナレーションで入れることもできますし、会葬礼状や香典返しに添える礼状に書いても失礼にはなりません。その際はできるだけ堅苦しい文体にせず、自分達の言葉で表現していきます。
臓器提供時の葬儀については、まだまだ発展途上。それぞれの事情を考慮しながら、自分達の葬儀スタイルを作り上げていくつもりで考えていくと良いでしょう。