戦後の経済成長によって生まれた国民年金と企業年金
すべての国民が年金に加入する国の年金制度は、1961年から始まった。そして、戦後の経済成長によって会社も儲かるようになった中で生まれたのが企業年金だ。もともとは国民年金と厚生年金しかなかったが、従業員の老後のためにというスタンスでスタートした。企業にとっては税制上の優遇もあったため「税制適格退職年金」と呼ばれている。当時の企業年金は、年利5.5%で運用できるという前提で制度設計がされていた。しかし、これだけの利率で運用するのは難しく、逆に企業にとっては大きな負担となってしまっているのが実情だ。たとえば、JALが抱えていた問題のひとつがこの年金問題であり、3000億円以上もの年金を支払うための積立金不足が財務状態を非常に圧迫し、同社の破たんの要因となった。
税制適格退職年金は廃止される
適格退職年金は2012年の3月を持って廃止される。仕組みとして、どう考えても無理が生じているからだ。積立不足も加速されているし、そもそも5.5%で運用するということが難しい。ということで、問題は、これからどうするのか?ということ。そこで、新しく出てきた制度の1つが、確定拠出年金なのだ。
日本版401Kと呼ばれているのが、「確定拠出年金」
確定拠出年金は国の法律に基づく年金制度である。国民年金や厚生年金だけでは、引退後の生活を賄うことができないし、そもそも国の体力も問題視されている。20代、30代の人の場合、年金はもらえないのではないかと言われているくらいだから、国としては「もう自分たちで頑張ってください」というのが本音なのかもしれない。そこで税制上かなり優遇するから、自分で老後のお金を作りましょうというのが確定拠出年金なのだ。確定拠出年金は私的年金のひとつで、現役時代に決まった掛金を納め(これを確定拠出という)、その資金を運用して損益が反映されたものが老後の受給額として支払われる年金。つまり、掛け金は確定した額だけれども、将来の受給額は未確定なのが、確定拠出年金。よく「日本版401k」と言われている。
ちなみに、これの逆バージョンとしては、確定給付年金がある。これは先に目標金額を決めておいて、そのためには掛け金をいくらにすればいいのか?を決める。つまり、給付される金額が確定しているということだ。
確定拠出年金には企業型と個人型があるが、今回の記事では、まず個人型について見ていく。