しじみは縄文の時代から庶民の味
縄文時代の遺跡からしじみの貝殻が発掘されているように、日本人は、古くからしじみを食用としてきました。しじみは日本中のどこでも大量に漁獲できたためと考えられています。江戸時代の庶民にとっては、値のはるうなぎより「土用しじみ」の方が手軽に食べられるものでもあったのでしょう。
日本のしじみの品種は大きく分けて、セタシジミ、ヤマトシジミ、マシジミの3種類があります。
主に流通するのは、北海道から九州の大きな川や海水の入り混じる湖などでとれるヤマトシジミ。このヤマトシジミが「土用シジミ」といわれ、夏が旬です。本州から九州に分布する淡水系のマシジミと、琵琶湖特産のセタシジミは「寒シジミ」といわれ、冬が旬となります。
しじみの生息地は減少へ……
シジミ類の漁獲量は1960~1970年頃には5~6万トンありましたが、河口堰の建設や淡水化などでしじみの生息できる場所が減り、近年は1万トン程度に減少しています。現在は漁獲量を制限する等、乱獲しないように管理されています。また1990年代から輸入量が増大しましたが、外国産は日本産のヤマトシジミとは種類が異なり、味も落ちることから高値がつきませんでした。そのため輸入シジミを高く売ろうとする偽装表示問題が起こり、偽装の摘発や北朝鮮からの輸入が禁止されたことなどから、2003年以降は輸入量が減少しています。
しじみは、貝殻の形や色で種を区別することは困難ですが、種が違うためDNAに違いがあります。水産総合研究センターでは、DNAの違い見分ける技術を開発し、輸入の中国産や北朝鮮産と、国内産とを区別できるようになったそうです。