住みたい街 首都圏/キケンな街の見分け方

安全な街選びの第一歩、首都圏の地形を知る(2ページ目)

自然災害に強い、安全な街を選ぶためには、地形、地盤を知ることが大事です。その第一歩としてここでは首都圏の地形を地質年代と誰にでも簡単に見られる、高低差の分かる地図でご紹介していきます。

中川 寛子

執筆者:中川 寛子

住みやすい街選び(首都圏)ガイド


神奈川、都下に広がる多摩丘陵、
川崎市、横浜市には下末吉台地が

東側は荒川低地で終わる武蔵野台地の西側の端は多摩川低地です。多摩川を挟んだ低地で、河口の大田区、川崎市からはるか上流まで続きます。武蔵野台地と向かい合っているのが上流部では多摩丘陵で、東京都八王子市から日野市、多摩市、稲城市、町田市、神奈川県川崎市、横浜市に渡ります。この丘陵の東側、多摩川下流で武蔵野台地と向かい合うのは下末吉台地(川崎市高津区、横浜市都筑区、鶴見区、港北区、神奈川区、西区、保土ケ谷区、中区などに広がる台地)。この台地はさらに三浦半島の三浦丘陵に続いています。横浜、川崎に傾斜地が多いわけです。
多摩川低地、下末吉台地、多摩丘陵

武蔵野台地の西の端が多摩川。川沿いには低地が広がる。神奈川県に入ると湾岸部以外は台地、丘陵が中心になる


埼玉は内陸部まで低地が多く、
台地があるのは大宮から鴻巣にかけて

埼玉県側に目を転じると、さいたま市から鴻巣市にかけて、南北に長い、島のようになった台地があり、これが大宮台地。台地の西側には荒川、東側に元荒川、中川など複数の河川が流れており、これらの河川を中心に広い範囲が低地になっています。地図からは大きくはみ出しますが、大宮台地の北側、利根川の対岸にやはり島のようになった館林台地があり、低地はその奥まで続いています。埼玉県はかなり内陸であっても低地が多いのです。
大宮台地

細長く島のようになった大宮台地の北部分。内陸の平坦地というイメージが強いが、実は低地が続く。画像の右手に南北に続く高台は千葉の下総台地


海辺のイメージが強いが、
実は広大な下総台地を擁する千葉県

千葉県側には荒川低地の東側に下総台地があります。千葉県の北半分のうちの、利根川沿いの低地、九十九里浜平野を除く広大な台地で、武蔵野台地の2倍以上の広さがあります。東京への通勤圏内でいえば、北は野田市から流山市、松戸市、市川市、船橋市、柏市、千葉市の湾岸まで、また、内陸では千葉ニュータウンや成田市も同じ台地上にあります。千葉と聞くと、湾岸の低地、太平洋側の海のイメージを持つ方が多いと思いますが、実際には古い時代に作られた台地が続く地域です。
下総台地

左手は東京低地。右手に広がるのが下総台地で千葉県の北の半分を占める。南側には房総丘陵が広がる


さて、ここまで4点の地図は実は誰にでも簡単に作り、見ることができます。ベースになっているのはグーグルアースで、その上に東京地形地図という高低差が分かる地図を重ねているのですが、この2つはいずれもダウンロードさえすれば、フリーで使えるもの。ですから、土地の安全性が気になるという人は自分で該当エリアをチェックしてみれば、高低がリアルに見えてきます。標高など多少の誤差はあるようですが、それでもかなりの精度です。ただし、拡大されつつあるものの、エリアは基本東京のみです。

*自治体名が掲出してある場合、全域が同じ地形であるという意味ではありません。ご注意ください。
*年代その他については諸説ある場合もあります。
*「東京の自然史」(貝塚爽平)その他、多くの資料を参考にしました。

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