アトピーと温泉水の深い関係
日本には火山が多く、温泉が多く存在します。日本の入浴の文化の中で、温泉好きな日本人は多いと思います。温泉には、いろいろな成分が含まれており、その効能なども違ってきます。一般的に、アトピー性皮膚炎(アトピー)に効能を示す源泉として、単純泉、炭酸水素泉、酸性泉が良いと言われています。アルカリ性の単純泉や炭酸水素塩泉は、刺激が少なく、「美肌の湯」と言われ、肌がスベスベします。酸性泉は、その殺菌作用から皮膚についてブドウ球菌を殺菌し、皮膚を清潔にしてくれます。
このように、アトピーと温泉水とは深い関係があります。実は、フランスでも同じような温泉水を使った肌へのケアがあります。フランス語で「テルマリズム」と言って、「温泉水を使って全身をケアし、うるおいを与え、健やかな状態に導く方法」を意味します。テルマリズムは日本の温泉水による湯治に似ていますね。
アトピーの悪化因子と原因
ここでアトピーについて考えてみましょう。アトピーの悪化および原因の1つに乾燥肌があります。皮膚の構造です。このように3層構造になっています
角質の間に水分が含まれており、角質が炎症や掻くことで傷ついたりすると、水分が蒸発しやすい乾燥肌になります。乾燥肌は皮膚の防衛機能が著しく低下しているために、特に、アレルゲンが皮膚から侵入しやすくなり、皮膚で炎症を起こし、アトピー性皮膚炎(アトピー)になってしまいます。つまり、乾燥肌を防ぐことがアトピーの治療の1つになるのです。
テルマリズムによるアトピー治療
ミネラルウォーターは飲むだけでなく、スキンケアにも使われます
フランスは、ミネラルウォーターが多く産出され、日本でも飲料水として販売されるほど豊かな水に恵まれた国です。皮膚には水分が必要であることから、温泉水を使ったテルマリズムは、個人差はありますが、スキンケアの1つの選択肢として考えられると思います。
「敏感肌」の段階でスキンケアを行う必要がある
上記のアベンヌテルマリズムセンターでの成果を論文発表した皮膚科医ディディエ・ゲレロ先生が所長に、東京慈恵会医科大学皮膚科教授の上出良一先生がアドバイザーとなって、敏感肌に関する正しい理解や最新情報・知識の提供、適切なケア方法を広めることなどを目的とする「敏感肌研究所」が発足しました。その発足を記念し、2012年5月10日にセミナーが行われ、両先生の講演が開かれました。このセミナーで、敏感肌は、病気でないものの、健康ともいえない「未病」であると話されていました。未病とは、病気になる可能性がある状態ですので、未病から病気にならないために、未病の段階で対策を立てることが大事です。つまり、敏感肌の段階での対策が必要で、それが、スキンケアであり、テルマリズムも1つの方法と言えるかもしれません。
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敏感肌研究所