「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝に代表されるように、女性の活躍が目立つ世の中になりました。そんな状況を受け、住宅の世界でも女性や主婦の目線を取り入れた住まいづくりや商品づくりが行われるようになってきました。そんな動きについて私も基本的には大歓迎です。しかし、ちょっと「?」の部分がないわけではありません。

私は大手ハウスメーカーによる情報発信にはほとんど目を通していますし、商品発表会などにも積極的に参加しています。このところ東日本大震災の発生を受けて耐震や防災などの情報発信が増えてきましたが、そんな中でも相変わらず多いのが女性や主婦目線による商品づくりに関する発信です。

子育て夫婦

共働き&子育て夫婦が今の住宅取得者の主役。中でも住宅購買のシーンでは主婦の存在感が強まっている

これだけ女性の発言権が高まっているのは住まいづくりの世界でも同様。中でも共働き夫婦が増えて、収入の面でも女性や主婦の存在感が増したことがその背景にあり注目されます。そうした中で女性・主婦目線での商品づくりが行われるのは、ユーザーニーズを反映した良い傾向だと思います。

ただ、あるハウスメーカーの説明会に出席してちょっと疑問を感じました。というのは説明会の節々に、「私たちはこれまで女性や主婦の皆さんの声を反映した商品づくりを十分に行っていませんでした」なんていうニュアンスの発言が聞こえてきたからです。私は「勘弁してくれよ」と思いました。

その説明会、住宅マスコミだけでなく、女性誌や子育て雑誌の記者や編集者なども招いて行われました。それはかまわないのですが、そうした住宅とは異なるマスコミへの露出を意識して、必要以上に女性や主婦にへりくだる必要は無いと思うのです。

ハウスメーカーのプライドが感じられない説明会

おかしいと思いませんか。そのハウスメーカーにも女性社員は当然いますし、その中にはもちろん共働きの方もいます。だとすると、これまでにも女性・主婦の意見なんて自前でいくらでも収集し、それを商品づくりに反映できたはずです。

子育て主婦

育児中の主婦の生活は大変だ。近年は家事動線や収納を工夫することで、家事負担を軽減する提案が増えてきた。ただし、ハウスメーカー間で差別ポイントは見えづらくなってきている

それに、住宅づくりに何十年もの歴史を持つハウスメーカーですから、ノウハウがないわけではないはずなのです。今さら「私たちは~」なんていうのは恥ずかしくないのか、というのが私が感じた「?」の中身です。

例えば、私が住宅を建てるのならそんなハウスメーカーはNG。住まいづくりに強いプライドを持つハウスメーカーなら、意地でもそんなことは言いません。女性や主婦目線による住まいづくりや商品開発というのは、何だかきらびやかな世界に感じられますが、裏側はこんなものなのです。

それにハウスメーカー各社の女性・主婦目線の提案も、それぞれの差別ポイントが見えづらくなっています。より重要なのは、商品うんぬんではなく、それを販売する人たちが理解しているかということです。

残念ながら、住宅を販売するのは未だに男性がメイン。女性・主婦目線をいかに彼らにインプットできるかが問題です。商品発表会がいかに華やかでメディアの露出が多くとも、この点が克服できていないと、あまり効果は上がらないのが実状のようです。


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