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シンプルライフな宿「シャロム・ヒュッテ」(3ページ目)

「シンプルライフな旅にピッタリな宿」と評判の「シャロム・ヒュッテ」。そのユニークなスタイルとは?

金子 由紀子

執筆者:金子 由紀子

シンプルライフガイド


朝のエコツアー・森の幼稚園

ツリーハウス

森の幼稚園(野外保育森の子)のツリーハウス。子どもたちも建築に携わった

翌朝は、7時に玄関集合の「エコツアー」に参加しました。森にも畑にも、朝露がキラキラ輝いて気持ちのいい朝です。まずは、宿泊棟の隣に並ぶ不思議な建物群から。

「これは、森の幼稚園なんです」
何と、森そのものが幼稚園なんですって! 「教室」はなく、扉のない物置きスペースのほかは、土でできた遊び部屋、ツリーハウス、野外キッチン(全部セルフビルド)などが並び、雨の日はタープを張った下で、雨合羽で保育。昼食は子供たち自らが火を起こし、調理に参加して食事を作るというワイルドさ。トイレは、水で流す代わりに枯葉をかける「コンポスト・トイレ」です。この幼稚園、入園希望者が多くて抽選制なんだそうですよ。


レストランの目の前が生産畑

畑

雑草と野菜が一緒に育つ畑。ただデタラメに植えているのではなく、緻密な観察と計算の上に成り立っている

そしていよいよ、シャロムの食べものを賄っている畑へ。お料理に使われている野菜たちは、宿の目の前に広がる自然農の畑で採れたものだそうです。調理やフロアを担当しているスタッフも、農作業を経験し、実際に自分たちで作った野菜を提供しているので、自信をもってゲストにすすめられるとか。

元気な農業スタッフが、畑の説明をしてくれました。
「シャロムで出される野菜は、この自然農の畑で採れたものです。ご覧の通り、草ボーボー。害虫駆除もしません。でも、ホラ、野菜たち、虫食いはあっても元気でしょ? 雑草とも虫ともうまく共存しているんです」

自然農だからといって、ほったらかしで済むわけではありません。「草も虫も敵としない、収奪しない農業」は、むしろ、細やかな気配りと作業が必要な、手間のかかる農法でもあるそうです。


これからのライフスタイルを考えさせてくれる宿

このほかにも、「排水を利用したプチ水田」「草屋根(ルーフトップガーデン)」など、至るところに「循環」の考え方が息づいているシャロムヒュッテ。このほかにも、菜種油で走るバイオディーゼルカーや自転車発電、風力発電など、過去さまざまな試みをしてきたそうです。

この宿で過ごしてみて、強く感じられるメッセージは、「自然から与えられたものを、必要なだけ使い、ムダにせず、それを常に他と分け合う」という姿勢でした。これは、シンプルライフそのものであり、さらに言えば、従来の価値観を粉々に打ち砕かれて戸惑っている私たちが、これから目指すべき持続可能な循環型社会の根幹をなすものではないでしょうか。


シャロムに行ってみて!

額

レストランに掛けられた額「You have enough」(あなたは十分に持っている)。シンプルライフって、そういうことじゃない?

シャロムでは、音楽やヨガなどのイベントも随時開催されているそうです。レストランやショップは、宿泊しなくても利用できます。遠く美しい北アルプスの山々を眺め、ゆったり過ごしながら、これからのライフスタイルを考える――そんなひとときにピッタリの宿でした。

舎爐夢(シャロム)ヒュッテ
〒399-8301 長野県 安曇野市穂高有明7958
TEL& FAX 0263-83-3838 
E-mail : shalom@ultraman.gr.jp 



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