日本はやはり格差が広がっている!?
日本は1億総中流社会と思っていましたが、それはひと昔もふた昔も前に終わっていたようです。日本の「相対的貧困率」が16.1%にもなることが、厚生労働省の調査で判明しました。その調査結果をもとに「相対的貧困率」とは何なのか、他の国と比べてどう違うのかなどをまとめてみました。また、この事実をどう受け止めていけば良いのかも考えてみました。
貧困率とは
相対的貧困は食料が買えないわけではない
絶対と相対の違いは学校の評価方法をイメージするとわかりやすく、例えば、60点以上とれば合格が絶対的な評価、上位20%に入れば合格が相対的な評価になります。
貧困で言うと、絶対的に所得が少なく(1日あたりの所得がわずか1米ドル程度など)て、生活に必要な食べ物すら買えないような低所得者は絶対的貧困に該当します。一方で所得はある程度あるものの、他の人に比べたらかなり少ない人が相対的貧困と言えます。日本が他国より率が高いのは相対的な貧困率のほうです。
厚生労働省の調査では、「相対的貧困率」とは貧困線に満たない世帯員の割合のことと定義しています。貧困線とは、等価可処分所得(世帯の可処分所得を世帯人員の平方根で割って調整した所得)の中央値を1/2にしたラインのことで、世帯人員が1人なら可処分所得を1で割り、2人なら約1.4、3人なら約1.7、4人なら2で割って計算します。
また、「子どもがいる現役世帯で大人が1人の場合の相対的貧困率」も調査していています。これは、世帯主が18歳以上65歳未満の現役世帯のうち、大人が1人と17歳以下の子どものいる世帯に属する世帯員の中で、貧困線に満たない世帯員の割合を表しています。
なお、「相対的貧困率」は、収入から直接税や社会保険料を除いた可処分所得で計算していて、預貯金や不動産などの資産、現物給付(介護給付や児童手当など)、間接税などは考慮していません。
日本は相対的貧困が増えている!
厚生労働省では貧困率の状況について定期的に調べています(表参照)。日本の「相対的貧困率」は徐々に上昇してきており、平成3年に13.5%だったのが平成24年には16.1%となっています。所得がいくら未満だと貧困なのかと言うと、平成24年の貧困線(実質値)が111万円、中央値(実質値)が221万円なので、例えば世帯人員が夫婦と子ども2人の計4人なら、世帯の可処分所得が年221万円(月18万4166円)未満だと貧困となります。単身世帯なら、年111万円(月9万2500円)未満が貧困となります。
物価調整していない名目値で計算した場合は、4人世帯の場合で年244万円未満、単身世帯で年122万円未満が貧困に該当します。
貧困線は平成9年の130万円がピークで、その後は下がり続けて15年間で19万円も下がり、昭和時代へ戻ってしまったような水準となっています。中央値・貧困線や貧困率からは、日本のこの15年は全体の所得が下がり所得格差が拡大した、とても厳しい時代だったと言えます。
更に驚くべきことは、「子どもがいる現役世帯で大人が1人の場合の貧困率」が54.6%にもなることです。平成9年の63.1%よりは低いものの、半数の世帯が貧困という悲惨な状況です。主に母子家庭や父子家庭が該当すると思われますが、相対的にみた所得はかなり厳しい状況です。
ただ、母子家庭や父子家庭においては、各自治体や企業にサポートする制度があり、貧困率の計算上では考慮されていない現物給付をそれなりに受けられるはずです。利用し損ねることのないよう、制度内容をよく確認しておきましょう。
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