オウム病とは
飼育される鳥の代表格としてオウムがあります
クラミジアは細胞内で寄生して増える微生物で、オウム病クラミジアは基本的には鳥から鳥に感染し、鳥に病気を起こします。オウム病になった鳥は、一見健康な状態で保菌状態になることもあれば、弱って死んでしまうこともあります。
そして、病気になった鳥の糞などにオウム病クラミジアが出てしまった場合、乾燥したそれらを空気中から吸い込んでしまうことで、ヒトも肺炎を起こすことがあります。ペットの鳥などに口移しで餌をあげたり、かまれたりした場合も、感染する可能性があります。感染から発症までの潜伏期間は5~19日です。
オウム病クラミジアを保菌している可能性がある鳥・動物
オウム病という名前ですが、インコやハト、カナリアなどのオウム以外の鳥も、オウム病クラミジアを持っている可能性があるため注意が必要です。ハトのうちの約20%程度がオウム病クラミジアを持っているとも言われています。そのため、ハトが多くいる神社や公園などの場所でも気を付けるべきです。ただし、鳥との接触の仕方や接触時間を考えると、人に菌を感染させやすい鳥としては、約60%はオウムやインコ。特に、セキセイインコが最も多いと言われています。つまり、鳥から人への感染は、野生の鳥からよりもペットからの感染が多いということです。その他、フィンチ類、ニワトリなどの鳥と、ネコ、イヌ、ヒツジなども感染源になります。
ペットが弱っていたり、急に死んでしまった時には注意してください。昔、セキセインコを飼っている時にはまだ医学生になっていませんでしたが、この名前だけを知っていました。
ヒトからヒトへの感染は稀なので、クラミジア肺炎と違って、オウム病の人と一緒にいても、あまり神経質に感染を心配する必要はありません。
オウム病の症状
他の肺炎の症状と同じです。- 突然の高熱
- 咳、血の混じった痰、顔色が悪くなるチアノーゼ
- 頭痛
- 全身倦怠感
- 筋肉痛・関節痛
オウム病の検査法・診断の流れ
まず、不調を感じて受診した際に、鳥との接触があることを伝えることが大切です。飼っていた鳥が急に死んだり、ペットショップに行ったり、神社や公園でハトと接したりしたことがあれば、それらのことを医師に伝えましょう。オウム病クラミジアは痰や死んだ鳥から検出できますが、医療機関ではできません。医療機関では、人に対しては血液検査を行い、オウム病のクラミジアの抗体を検査します。胸部X線を行うと、マイコプラズマ肺炎のような肺炎に似ている状態が確認できます(マイコプラズマ肺炎について、詳しくは「マイコプラズマ肺炎の症状・治療・予防法」をご参照下さい)。
オウム病クラミジアの治療法
クラミジア肺炎やマイコプラズマと同様の抗生物質が効きます。適切な抗生物質で治療することが大切です。■抗生物質
マイコプラズマ、クラミジア肺炎と異なり、テトラサイクリン系抗生剤(ミノマイシンなど)が最初に使われる抗生剤です。
マイコプラズマよりひどくなるので、注意が必要です。マクロライド系抗生剤(エリスロシン・クラリシッド・クラリス・ジスロマック・リカマイシン・ミオカマイシン・ジョサマイシンなど)やキノロン系・ニューキノロン系抗生剤(オゼックスなど)が使われます。
ただし、テトラサイクリン系抗生剤は、8歳以下の子供では使いにくい薬です。
咳や鼻水・鼻づまりがひどいときには、咳や鼻水を抑える薬や鼻づまりを抑える薬を使います。抗生剤は、クラミジア肺炎と同じで2週間ぐらいの長めに服用することが勧められています。
オウム病の予防法
何よりも、ペットとして鳥を飼っている場合は、飼育者がオウム病についての知識を持っておくことが大切です。鳥の状態を観察して、把握しておく必要があります。もし飼っている鳥が弱っている時には、獣医の診察を受け、治療することが先決。そして野外では不用意に鳥に近づかないことです。特に死んだ鳥には注意しましょう。このことは、高病原性トリ型インフルエンザでの注意点と同じです。オウム病と診断されるとオウム病は感染予防法で4類感染症になっておりますので、診断した医師が直ちに最寄りの保健所に届け出ることになっています。