小さくするための様々な工夫に泣く
小さい財布の全体の構造は、こんな感じ。三つ折り財布の無駄な空間を徹底して削って作られている
多分、馬蹄型のコインケースが登場した時には、世界が驚いたと思うのです。このサイズでコインがとても出し入れしやすくて、折り畳めば紙幣だって入る、何より従来の財布とは形状が全く違う、という驚きは、実際に使った時の便利さでさらに強調されます。そんなイノベーションが、今、日本では起こっていて、その一つが「小さい財布」なのは間違いないのです。馬蹄型コインケースは、とにかくコインの出し入れと検索性の高さに特化して作ったからこそ、あの完成度になったのだと思いますが、「小さな財布」は、同じように、「小さいけどフル機能」に特化して作られています。その過激なほどの徹底ぶりを見ていきましょう。
カードケース部分は全体を開かなくてもアクセス出来る仕様。カードは最大5枚程度収納できる
まずは、カードケース部分ですが、これ、財布を完全に開かなくても、最初のアクションでカードが使えるんですね。しかも、切れ込みが入っていて、そこを押す事でカードをスムーズに取り出せます。「薄い財布」では、この切れ込みが重なりを最小限にするための要素でしたが、「小さい財布」では、同じような構造に見えて、こちらでは、カードケース部分をギリギリまで小さくする事で起こる、カードの出し入れ時の引っ掛かりを解消するためのものになっています。それでいて「薄い財布」とのデザインの統一感も出ている一石二鳥は見事ですね。カードの収納力はクレジットカードのような厚い物だと3枚、メンバーズカードなどの薄い物との組み合わせでも最大5枚程度が限度ですが、持ち歩くカードを厳選するのも、楽しみの一つ。
コインケースは、構造の隙間を上手く使っているので、意外に大きく大容量
コインケース部分は、もう一段階折り返したところに用意されています。カードケースの状態のまま、その方向で折り返すとコインケースが現れるので、財布を持ち替える必要はありません。しかも、このコインケース部分、財布全体のバランスとしたら結構大きめで、「薄い財布」のコインケース部分よりスペースもあって使いやすいのです。「小さい財布」を横から見ると分かるのですが、このコインケース部分は、各パーツが一番重なる折り返し部分の内側上部に用意されています。この場所は、どうしても空間に遊びが出る部分なので、コインを多めに入れても大丈夫なんですね。このコインケースの位置と扱いとサイズは、この財布の最も優れたアイディアだと思います。
SUICAなどのICカードは、紙幣スペースの中央部分に差し込んでおくと、財布の底でタッチできて使いやすい
紙幣は、折らずに入れられるというのが、開発上のこだわりだったそうですが、確かに折り曲げる動作は、とても面倒です。ガイド納富だけかもしれませんが、現金は一刻も早く財布に収納したいので、一々、出し入れするたびに折ったり開いたりしていられないのです。大きく開くので、出し入れも普通の二つ折り財布と変わりません。
ただ、ちょっと残念なのは、SUICAなどのICカードを収納するスペースが無い事。ガイド納富は、折り返しの中央部分に入れて使っていて、大きな問題は無いのですが、札の出し入れ時にちょっと引っ掛かる事があって、少しだけ気になります。ただ、ほぼカードサイズ、というコンセプトを徹底するには、このスタイルしかなかったという事は分かるので、それはそれで、評価したい部分です。背面にカードスリーブがあれば、と考えてみたのですが、サイズが一回り大きくなる事は避けられません。スリーブがあればレシートなども入れられて便利なのですが、ここは割り切った部分ということです。
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