まやんち流、紅茶のゴールデンルールズ
紅茶をおいしく淹れるコツを訊ねると、八代さんは「まず、愛です」と心がまえを教えてくれました。「気を落ちつかせて、飲む人のことを思うこと。おいしいお茶を淹れることを強くイメージすること」
水は汲みたてで酸素を多く含んでいることが重要。ゆえにミネラルウォーターではなく、浄水器を通した水道水を使用します。
また、紅茶の抽出に2つのポットを使い分けるのも大切なこだわり。スタッフが一杯目を淹れてカップに注ぐための「ファーストポット」と、お客さまのテーブルに運ぶ二杯目用の「セカンドポット」。ファーストポットにはイワキのジャンピングポットが、セカンドポットにはドイツ・アルツベルグ社の幻のform 1382のティーポットが登場します。
上:まやんちの紅茶講座 下左:季節限定のフォレノアール 下右:スコーンは定番ですね。
○汲みたての水を使う。
○2つのポットを温めておく。
○茶葉の分量と注ぐお湯の量を守る。
○お湯は勢いよく注ぐ。
○蒸らし時間を守る。(早すぎても遅すぎてもいけません)
○茶葉をジャンピングさせる。
まやんちでは淹れかたも含めて、『飲んで覚える紅茶入門』の講座で紅茶の魅力を総合的に紹介しています。こちらも人気の講座。興味のあるかたはサイトで申し込みを。
二杯目が渋くて飲めない…そんな悲しい紅茶にしたくないから
お客さまがストレートで飲むかミルクを入れて飲むかによって、薄めに抽出するか濃いめにするかを変えるという心づかい。そして、最後までおいしく味わっていただくためのこだわりがもうひとつありました。それは紅茶の茶葉をポットに浸したまま(リーフ・イン)にせず、適切なタイミングでセカンドポットに抽出し、ティーコジーとティーマットで保温してお客さまのテーブルに運ぶこと。
「自分がお客として紅茶のお店を訪れたときに、二杯目以降が渋くて飲めなかったことがあります。ミルクを入れても渋みが消えないし、さし湯をいただいても本来の茶葉が持っている旨みが出ない。何度もそんな残念な思いをしたことが教訓となりました」
「飲んで覚える紅茶入門」のひとこま(参加者撮影)
「蒸らし時間を3分と決めたら、3分おきに必ずスタッフがポットの前に張りついてなければいけません。そのあいだにもお客さまから『すいませ~ん』と呼ばれたり、お会計のタイミングと重なったり、食器を運んだり下げたり……さまざまな作業との兼ね合いが難しいのです」
まやんちではスタッフの人数に余裕を持たせて解決しているそう。紅茶をおいしく淹れることに喜びと小さな誇りを抱いているカフェならではの流儀です。
次ページで、最近の人気メニューをお届けします。初夏の愉しみは、チェリーの入った「黒い森」を意味するお菓子。