上質のお菓子と紅茶を、快い静けさのなかで

蒲田駅すぐ近くのマンションの一室に、スイーツ、紅茶、インテリアのすべてにおいて高いクオリティをもつカフェが隠れています。
……いや、2006年に誕生して5年、もはや「隠れている」という表現は似つかわしくないですね。カフェとして愛されているだけでなく、お菓子教室も人気が高くてつねにキャンセル待ち、スイーツのレシピブック等でも丁寧なレシピを披露しています。
蒲田駅前のざわめきを浄化した、上質のお菓子と紅茶のサンクチュアリ。

蒲田駅前のざわめきを浄化した、上質のお菓子と紅茶のサンクチュアリ。

インテリアデザインを手がけたのは建築家の八代国彦さん。彼は「まやんち」のオーナー、八代まゆみさんのご主人でもあります。古びたマンションの一室を漆喰と杉板の壁で覆い、山桜材を用いたオリジナルの椅子とテーブルを配して、和のテイストを感じる端正な空間へと変身させました。障子を模した窓辺はほのかな光をはらみ、雑然とした外界の風景をみごとに遮断して、室内に快い静けさと落ちつきをもたらしています。

このカフェの大きな魅力は、長年真剣にお菓子づくりに取り組んできた大人の豊かな経験と実力が、おもてなしに気持ちよく反映されていることでしょう。夢見がちな少女のつくるお菓子ではなくて、愛情深い大人がつくるお菓子の味。

素朴なのにとびきりおいしいお菓子を焼きあげる八代まゆみさんの信条は、小さなひと手間を惜しまないこと。
「飾らないお菓子ほど、作るひとの心がけが出てしまうのです」

だからお菓子づくりの各プロセスの中に、ほんのわずかでもおいしさのクオリティを増すポイントがあれば、すべて省略せずに実行します。おいしさへの努力は最大限におこなう、それがまやんちのスピリット。
シンプルでぬくもりのある椅子は、木曽アルテック社にオーダーしたオリジナル。

シンプルでぬくもりのある椅子は、木曽アルテック社にオーダーしたオリジナル。

スイーツと紅茶のペアリング

お菓子をより豊かに演出してくれる紅茶も大切な存在。中国茶やハーブティーなども含めて40種類近い銘柄が取りそろえられています。

「紅茶は産地によって、また同じ産地でも茶園によって味わいが異なります。同じ茶園でも収穫時期によって、さらには出荷ロットによって違う味わいを認識して、農作物としての完成度を感じたときの高揚感が好きです」

その違いをお菓子とのペアリングに活かせることが紅茶選びの醍醐味、と八代さん。
「紅茶とお菓子、それぞれのおいしさを100とすると、ぴったりのペアリングが成されたときは100+100が200じゃなくて、2000くらいにふくらみます。桁違いの喜びとなるのが楽しいですよね」

ペアリングを堪能するため、ティーリストには産地、茶園名、収穫時期、茶葉の等級、ストーレートとミルク入りのどちらが合うかなど、その紅茶の性格を把握しやすいように詳しい情報を記載。紅茶の仕入先は限定せず、八代さん自身がおいしいと思った茶葉、産地や収穫時期などの特徴が出ていると感じた茶葉を選んでいます。

次ページで、紅茶の「まやんち流ゴールデンルールズ」をご紹介しましょう。