カフェの店内写真

音のない歌をうたう小鳥たち

取材のために初めてのカフェにおじゃまするとき、店内に入ってあたりを見回し、この空間は好きな匂いがすると察知した瞬間、足が空中に1cmくらい浮き上がってしまうように感じることがあります。
つまり、あわててしまうのですね。この空間につまっている魅力をすべてカメラと言葉でつかまえることなど不可能だとわかっているけれど、大急ぎで、できる限りたくさん見つけださなくては……と。

カフェのそんなとらえがたい魅力は、いわば空中で音のない歌をうたっている無数の小鳥のようなもの。たしかにつかまえたと思って手のひらを開いてみても、小鳥はすばやく飛び去っていて、手の中には羽根が1枚残されているばかりです。

Yucca.は久しぶりにそんな体験をさせてくれたカフェでした。吉祥寺駅から歩いて1分、雑居ビルの4階でエレベーターの扉が開くと、気泡入りガラスの嵌めこまれたYucca.の扉が待っています。

カフェ店内の写真

ユッカ=二人の女性の「ユ」+Cafeの「カ」

扉を開けるとまず目に飛び込んできたのが、天井までみずみずしい緑の枝をひろげる大きなシュフレラの鉢植え。想像していたよりずっと広い店内には、あちこちに大小の観葉植物と絵本が置かれていました。

雑貨の写真Yucca.を共同で経営するのは大林さん夫妻、そして吉祥寺界隈で行列ができるほど人気を集めた移動パン屋「吉ぱん」で活躍していた村山由紀子さんの3人。武蔵野美術大学時代からの仲間だったそう。

ユッカという店名は植物の名前に由来するものですが、大林ユウコさんの「ユ」、村山ユキコさんの「ユ」に、カフェの「カ」という意味も含まれています。
毎日、カフェのキッチンに立ってお料理の腕をふるうのは村山さん。今回の記事では、村山さんにおうかがいしたお話を詳しくご紹介しますね。


▼路上のパン屋「吉ぱん」からスタート