住宅購入の費用・税金/住宅購入費用・予算

母娘マンションセミナーで多い質問はコレ!(2ページ目)

マンション購入セミナーに意外と多いのが、母娘での参加です。娘の大きな買い物を前に、親としては心配で居てもたってもいられない。というところでしょうか。お母様から受ける質問の多くは、贈与税についてです。

大石 泉

執筆者:大石 泉

シングルのマンション購入ガイド

贈与税は高い!
 

個人からの贈与により取得した財産に課せられるのが贈与税です。贈与税の納税義務者は、財産を受けた者です。これは親子間であっても同じです。

贈与税の計算式は以下のとおりです。
[その年中に取得した贈与財産価格の合計額]-[基礎控除110万円]×税率

贈与税の税率は、累進課税となっていて、受贈額が大きくなるほど税率(10%~50%)が高くなる仕組みです。課税価格が200万円以下だと税率は10%ですが、1000万円超の贈与については、1000万円を超えた部分に50%の税率がかかります。310万円の贈与だと、基礎控除(110万円)を引いた200万円に10%が課税され、贈与税は20万円。2110万円の贈与では、税額は775万円となります。

娘のマンション購入に際し資金援助したいが、贈与税を支払うのはちょっと、と躊躇ケースもあるでしょう。比較的金融資産の多い親世代から、子どもへ資金の移転を促し、同時に住宅市場を活性化させようと、現在は住宅取得資金の贈与についての税制の特例が設けられています。特例は、基本的には申告ベース。知っていれば選択肢の土俵に上り、自ら申請して初めて恩恵を受けられます。

そのような情報を仕入れたうえでマンションセミナーに参加されているのかと思っていると、実はそうでもないという母娘の方が何組もいらっしゃいました。まだまだアナウンスが足りないようですが、しっかり理解し、自分に適したものを利用しましょう。特例について、以下ご紹介いたします。

贈与の特例(1)
直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税

平成21年1月1日から平成23年12月31日までの間に、父母や祖父母などの直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた子ども等が、贈与を受けた年の翌年3月15日までにその取得等資金を自ら居住するための住宅取得資金に充てて取得し、その住宅に同日までに居住した場合は、住宅取得等資金のうち一定金額について贈与税が非課税となります。

非課税の特例を受けるには、住宅や受贈者(子ども等)の要件をクリアする必要があります。たとえば、受贈者は、贈与を受けた年の1月1日において20歳以上でなければなりません、また、贈与を受けた年の合計所得金額が2,000万円以下であることなどです。

家屋の要件では、その登記簿上の床面積が50平方メートル以上であることなどがあります。シングルが、コンパクトなマンションを購入する際、しばしばこの面積要件に抵触し、非課税の特例の対象とならないケースがあるため注意してください。「数平米の差で贈与税が大きく異なるとわかっていれば、間取り選びの選択肢が変わっていた」では悔いが残ります。知っていると知らないとでは、雲泥の差なのです。

平成23年分の贈与については、非課税枠が1000万円。つまり、1000万円までの住宅取得資金等の贈与は、1000万円までは非課税です(申告必要)。


贈与の特例(2)
相続時精算課税選択の特例

平成23年12月31日までに、親から住宅取得等資金の贈与を受けた20歳以上の子が、贈与を受けた年の翌年の3月15日までにその贈与資金を自ら居住するための家屋の取得の対価に充てて取得し、その家屋を同日までに居住したとき又は同日以後遅滞なく自己の居住の用に供することが確実であると見込まれるときに、相続時精算課税を選択することができます。

「相続時精算課税」制度は、贈与時に贈与財産に対する贈与税を納め、その贈与者が亡くなった時にその贈与財産の贈与時の価額と相続財産の価額とを合計した金額を基に計算した相続税額から、既に納めたその贈与税相当額を控除することにより贈与税・相続税を通じた納税を行うものです。

なお、贈与時の特別控除額は2500万円。この制度を利用すれば、2500万円までの贈与には、贈与時には課税されず、将来、贈与者である親の相続が発生した際に、贈与財産と相続財産が合計され、合計額をもとに相続税が計算されます。
前者の贈与の特例(1)は、もらいっぱなしができるためわかりやすい特例です。後者の相続時精算課税制度は、贈与時には贈与税が発生しなくても、親の相続財産の多少によっては、相続税が発生します。また、将来、相続税が見直され、課税の仕組みが厳しくなることも考えられます。一度、この制度を選択すると、基礎控除110万円の暦年課税の方法には戻れなくなることもあり、親の財産、相続税等の要件見直し、など様々な情報を踏まえて選択しなければなりません。
 

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