2010年度のハウスメーカー業績は好調に推移
2010年度を簡単に振り返ると、大型ローン減税やフラット35Sを中心とする低金利政策、住宅エコポイントといったかつてない規模の住宅取得支援策を背景に、ハウスメーカーの多くが業績を伸ばしました。決算説明会の様子。今年の説明会では好業績の一方で、東日本大震災の影響も含め、先行きの不透明感を指摘する声が目立った
しかし、2011年度については少々事情が異なってくるようです。今後、住宅取得を検討する方々にも大きく影響することですから、いくつか私なりにポイントを上げておきたいと思います。
まず第一に住宅政策に大きな変更が考えられること。各種住宅取得支援策の終了、もしくは縮小が年内に行われる可能性があります。既に7月で住宅エコポイントが終了することが発表されました。また、フラット35Sの金利を1%引き下げる施策も、予算消化で前倒しで終了することが、いわれています。
住宅支援策の縮小、資材高騰の懸念も
元々、我が国の財政は逼迫していますし、東日本大震災からの復興予算も確保しなければなりませんから、その影響が住宅政策の変更というかたちで表れてくることはあり得ること。さらには消費税の動向にも注意が必要になるでしょう。住宅金融支援機構のフラット35だけでなく、民間金融機関の住宅ローンも低金利の商品が揃っている。東日本大震災の影響は、長く続いてきた低金利政策にも変更を迫るかもしれない
第三に資材高騰が進みそうです。東日本大震災の復興需要はもちろん、世界的な需要の高まりから木材や鉄、原油などの価格高騰が現在進行中です。このことは私たちの住宅づくりに最終的に反映されてきますから、注意が必要になります。
ところで、住宅業界は東日本大震災の復興を担う大きな役割があります。その中で復興需要が期待されるのですが、その動向を含めて住宅業界各社は慎重な見方をしています。「復興需要は数年後になるのではないか」というハウスメーカーも。
それだけ東日本大震災がかつてない規模であるということです。実は今年度は中期的な経営計画を策定するハウスメーカーが多いのですが、その発表を控えたり、先延ばしするハウスメーカーもあるほどで、これも住宅市場の先行きの不透明さ具合を表しています。