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住宅業界動向 2010年度概況と今後の展望

東日本大震災は、住宅取得を巡る環境に大きな変化をもたらしそうです。そこで主要ハウスメーカーの決算発表が一段落したこともあり、ここで2010年度の概況と、2011年度の展望に触れてみたいと思います。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

主要ハウスメーカーの決算発表が一段落しました。そこで今回は2010年度の住宅業界の振り返りと、2011年度(今年度)の展望について少し解説してみたいと思います。東日本大震災の発生もあって、住宅業界を巡る動向は先行き不透明感が出てきました。

2010年度のハウスメーカー業績は好調に推移

2010年度を簡単に振り返ると、大型ローン減税やフラット35Sを中心とする低金利政策、住宅エコポイントといったかつてない規模の住宅取得支援策を背景に、ハウスメーカーの多くが業績を伸ばしました。

決算説明会

決算説明会の様子。今年の説明会では好業績の一方で、東日本大震災の影響も含め、先行きの不透明感を指摘する声が目立った

売上はもちろんですが、利益的にも大きく回復し、2008年のリーマンショックの影響から立ち直りが顕著だったハウスメーカーもありました。東日本大震災の影響は、一部に引き渡しが遅れた物件があったものの、2010年度業績への影響は限定的だったようです。

しかし、2011年度については少々事情が異なってくるようです。今後、住宅取得を検討する方々にも大きく影響することですから、いくつか私なりにポイントを上げておきたいと思います。

まず第一に住宅政策に大きな変更が考えられること。各種住宅取得支援策の終了、もしくは縮小が年内に行われる可能性があります。既に7月で住宅エコポイントが終了することが発表されました。また、フラット35Sの金利を1%引き下げる施策も、予算消化で前倒しで終了することが、いわれています。

住宅支援策の縮小、資材高騰の懸念も

元々、我が国の財政は逼迫していますし、東日本大震災からの復興予算も確保しなければなりませんから、その影響が住宅政策の変更というかたちで表れてくることはあり得ること。さらには消費税の動向にも注意が必要になるでしょう。

住宅ローン

住宅金融支援機構のフラット35だけでなく、民間金融機関の住宅ローンも低金利の商品が揃っている。東日本大震災の影響は、長く続いてきた低金利政策にも変更を迫るかもしれない

第二に太陽光発電システムの設置促進が、より進められそうです。原発の代替エネルギーとして期待されているのはご存じの通りですが、今後は東電の補償金支払いと連動して電気代がアップすることも懸念されます。太陽光発電システムによる家計防衛も注目されることでしょう。

第三に資材高騰が進みそうです。東日本大震災の復興需要はもちろん、世界的な需要の高まりから木材や鉄、原油などの価格高騰が現在進行中です。このことは私たちの住宅づくりに最終的に反映されてきますから、注意が必要になります。

ところで、住宅業界は東日本大震災の復興を担う大きな役割があります。その中で復興需要が期待されるのですが、その動向を含めて住宅業界各社は慎重な見方をしています。「復興需要は数年後になるのではないか」というハウスメーカーも。

それだけ東日本大震災がかつてない規模であるということです。実は今年度は中期的な経営計画を策定するハウスメーカーが多いのですが、その発表を控えたり、先延ばしするハウスメーカーもあるほどで、これも住宅市場の先行きの不透明さ具合を表しています。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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