風邪のタイプってあるの?
鼻かぜ・のどの風邪・おなかの風邪……どれもつらいものです
主な風邪の種類別に、特徴を解説しましょう。
鼻風邪 鼻をかんだ紙からもうつりやすい
風邪の原因の80%以上はウイルスです。ウイルスの半分以上は鼻風邪ウイルス(ライノウイルス)とされています。このウイルスは高い温度が苦手なので、外気の影響で温度が低くなりやすい鼻や喉の粘膜には感染しますが、体の内部にあり温度が高い肺では増加しにくいため、肺炎を起こす事はありません。
このライノウイルスは100以上の型があるので、すべての型に対して免疫記憶を持つ事は不可能です。抗ウイルス剤は開発されましたが、症状が出る期間を1日程度短縮させる効果しかないため、市販はされていません。
また100以上の型ごとに必要なので、ワクチンは作製されていません。罹った人の鼻水中にウイルスがいるので、鼻をすすったりした手指が触れたものや、鼻をかんだティッシュペーパーにもウイルスが付着します。症状が出る前から鼻水中にウイルスがあるので、同居している人や会社で同室の人は感染を免れるのは難しいです。
俗説で「風邪は他人にうつすと治る」と言われていますが、それはこの鼻風邪ウイルスの可能性が高いです。病期が短いため、治った頃に周囲の人が発症することが多く、「うつしたら治った」ように感じます。
のどの風邪 他の病気を引き起こす危険性がある
微熱があって喉が痛い場合があります。非常に喉の炎症が強くて、喉が赤く腫れて痛みが非常に強い場合は、溶連菌(化膿性連鎖球菌、A群β溶血連鎖球菌)による感染を起こしている場合があります。ウイルスには抗生物質は無効ですが、細菌である溶連菌に対しては有効です。風邪による喉の痛みは軽視してはいけません。この菌に対する免疫反応が、発熱や喉の腫れがひいた頃に、別の病気を引き起こす事があるからです。心臓疾患や関節の炎症を伴う疾患をリウマチ熱と呼びます。急性糸球体腎炎という血尿と浮腫と高血圧を起こす疾患もあります。
お腹の風邪 脱水症状の改善が重要
風邪症候群は気道感染による疾患とされていますが、「お腹の風邪」という表現が使われる場合があります。微熱があって嘔吐や下痢症状がある場合に、この表現を用います。ウイルス性腸炎の原因としては、集団発生の場合を含めてノロウイルスが多いことが判明していますが、ノロウイルス以外にも消化管に感染するウイルスはあります。例えば小児に多いロタウイルス、結膜炎の原因にもなるアデノウイルスでは迅速キットが診断に利用出来ます。
細菌性の食中毒でも嘔吐や下痢症状を来します。お腹の風邪というときは個々の例では原因の最終的な究明はできない場合が多いのですが、治療としては脱水症状の改善が重要です。脱水症状の改善には静脈内への点滴が有効とされています。
夏風邪 呼吸器以外の症状も多い
夏風邪という言葉もあります。夏風邪には複数のウイルスが関係しています。呼吸器以外に、目の症状や消化器症状、発疹を伴う事があります。ウイルス性腸炎をさしている場合も多く、夏にかかる「お腹の風邪」のことをこう呼ぶこともあります。主な風邪の種類については以上です。