スポーツカーのようにコーナーをクリア
2010年に登場した、プレミアムSUVの2代目モデル。ベーシックなV6モデル(798万円、MTは751万円)、最高出力400psの4.8リッターV8のS(1035万円)と最高出力500psを発生する4.8リッターターボのターボ(1569万円)をラインナップ。パラレル式ハイブリッドモデルのSハイブリッド(1092万円)も設定された。こちらは最高出力333psの3リッターV6スーパーチャージャーに47psのモーターが組み合わせられている
カイエンの登場は、世界中、特に北米を中心とした911シリーズのメインマーケットで熱狂をもって迎えられ、その結果、ポルシェ社の生産台数は一挙に2倍規模へと膨らんだ。
よく知られているように、カイエンはVWグループとの共同開発モデルである。VWグループが開発したSUV専用大型プラットフォームをベースにカイエンは生まれた。
初代は特に、ボディパネルの一部にもVWトゥアレグとの共通品があったため、単なるバッヂエンジニアリングだと揶揄されたこともあったが、それが真実でないことは、実際にカイエンを買ったオーナー(たいていポルシェ経験者であっただろう。何しろ、彼らにとっては待望の超実用的=かみさんにも運転できる家族のためのポルシェだったのだから)が最もよく判っているはずである。
実際、トゥアレグと乗り比べてみれば、違いは歴然としている。疑り深い人は、この2台を持っている友人を探し出して、2人をワインディングロードに招待し、助手席に乗せてもらえばいい。そして、同じ速度でワインディングを流してもらうのだ。そうすれば、その姿勢、乗り心地、景色の見え方などが、まるで違うことに気付くはず。コーナーでは腰がきれいに入り、スポーツカーのような姿勢でクリアしてゆく。カイエンは、端的に言って、SUV界のスポーツカーである。
エンジンの直噴化やアイドリングストップ機構(ティプトロニックSモデルに装備)、エネルギー回生システム、車体の軽量化(V6モデルで旧型比約165kg、Sで約180kg、ターボで約185kg)などにより、燃費とCO2排出量が最大20%向上している