仕事と両立できる資産運用術/長期国際分散投資はこうやってやる!

良い投資信託、悪い投資信託は定性評価で知る

投資信託の評価の仕方には、第8章でご案内した数値で評価できる部分と数値以外の観察による部分があります。後者は定性評価と呼ばれていますが、運用会社の方針や経営理念によって様々です。私たちの長期運用に不向きな投資信託をつかまないために、注目すべき点をご案内します。

北川 邦弘

執筆者:北川 邦弘

はじめての資産運用ガイド

  • Comment Page Icon
国際分散投資を志す人にとって良い投資信託にはどんな特徴が望ましいのでしょうか?

良い投資信託の特徴

  • 複利で運用できる
  • 系列を超えて買われている
  • 超長期で存続しそう
  • 流動性も確保されている
  • 戦略が一貫している

悪い投資信託の特徴

では、その逆の「悪い」とはどんなことを指すのでしょうか?
  • 分配金を無理に多く出そうとする
  • 販売ノルマで売り込んでくる
  • 長期的スタンスに立っていない
  • 購入時期、換金時期に制限がある
  • 戦略よりも社内ルールが幅をきかせている
 これらの多くのことは、運用会社の内部を調べないと分からないことなので、なかなか外部から簡単に診断できることではありません。できるとすれば、以下のようなチェックがあります。

定性評価の方法

 まず複利運用に関しては目論見書をよく読むこと。そしてその投資信託の分配方針を理解して分配型の商品を選ばないことです。となると再投資型となるわけですが、同じ再投資型でも分配金を出そうとする投資信託とできるだけ出さない投資信託があるので、目論見書の記載だけでなくて、ファンドマネジャーのコメントや運用報告書を読み解いて真意を探る努力が必要です。

長期的スタンスに立って投資家に喜ばれる成果を出している投資信託は、時間の経過と共に純資産額が伸びていきますが、系列証券会社のプッシュアウト営業で売り込まれた投資信託は、販売後の早い時期にそのピークが訪れて、数年後には解約が続出して一気にその純資産額を減らし、最悪の場合には、早期に償還されてお金が戻ってきてしまいます。それでは、まったく長期投資にならないので、注意が必要です。目論見書の運用期間が無期限であり、解約請求がいつでも可能であることは少なくとも目論見書で確認しておいてください。

定性の底辺にあるのは運用会社の良し悪し

 投資信託はお客様のためにあるもの、と思いがちですが、現実には意外と社内やグループ内に目が向いている投資信託も多いのです。投資信託の良し悪しには複数のポイントがありますが、運用会社の体質こそ見えにくくて影響の大きい収益要因の一つと言えそうです。それらの情報をしっかり伝えてくれる証券会社を選ぶことこそ必要な対策です。

次のページは「国際分散投資ステップ5:時間分散して投資する」です。


※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

あわせて読みたい

あなたにオススメ

    表示について

    カテゴリー一覧

    All Aboutサービス・メディア

    All About公式SNS
    日々の生活や仕事を楽しむための情報を毎日お届けします。
    公式SNS一覧
    © All About, Inc. All rights reserved. 掲載の記事・写真・イラストなど、すべてのコンテンツの無断複写・転載・公衆送信等を禁じます