債券で収益率を調整する
株にするか債券にするかを考えるには…
たとえば、若いうちからすでに自己資金ができている、あるいは子どもがいないから教育費がかからない、はたまた老後のために投資リスクを負いたくないという人たちは、必要最低限の収益率でかまわないはずです。現実には100人100様の資金計画と必要収益率があるわけですから、そのために収益率の上げ下げを債券を加えることで柔軟に行うのです。
債券はリスクを下げてくれる
しかし、ここで首をかしげたくなりませんか?だれでも8%得られるなら、わざわざ債券を加えて期待収益率を下げる必要はないだろう?という素朴な疑問です。それに答えるには、相関関係とリスクについて説明しなければなりません。二つの資産の価格が同じ方向に動く性質を持っていることを正の相関関係にあるといいます。逆は負の相関関係です。実は株式と債券は逆の値動きをすることが分かっています。負の相関関係にあるわけです。ですから、株式と債券を組み合わせる最大のメリットは、収益率を調整することではなくて、リスクを下げることなのです。
人はリスクを避けたいと思っている、という前提に立てば、必要収益率以上のリターンを目指すことは、人生に無意味なストレスを与えることになるだけで益なしと専門家は考えます。あとはその人の考え次第です。生い立ち、資産内容、将来のビジョンによってもリスク許容度は変わってきます。
株と債券のブレンドが快適なポートフォリオ
前置きが長くなりました。自主年金を作る人にとっての違う選択肢とは、株式ポートフォリオに債券を加えて、株式+債券のポートフォリオを持つことです。原則は「自分の必要収益率に応じて債券を加える」です。が、年齢とリスクという観点から、どのくらい債券を持つべきか?について、分かりやすい例えがあります。それは「自分の年齢の分だけ債券を持て」とする説です。つまり生まれたて赤ん坊は株式100%でよいし、30歳になったら株式70%、70歳になったら株式30%という簡易方です。
債券は株式に比べてリスクが小さいですし、株価暴落に際しても債券が多いポートフォリオはその損失が小さくて済みます。したがい、お金を使う時期が近づくにつれて株式を減らして債券を増やすという対応は合理的な防衛策でもあるのです。
若い人に債券は要らない
ただし年齢に合わせて資産配分を変えることにこだわることもありません。もっと個別の事情を総合的に判断して株と債券の比率を決めてかまいません。個人的には50歳過ぎても株式100%で積極運用を続けています。債券を加えてリスクの低減を計るのは、自主年金としてのゴール(目標額)が近づいてきてから、対応すれば良いとご指導しています。ましてや、30歳代の人が30年後のために毎月3万円ずつ投資するのに債券はまだいらないでしょう。次のページは「国際分散投資のステップ2:地域分散を考える」です。