都合の悪い情報はなかなか出てこない
情報は鵜呑みにせず、自分で考え、咀嚼することが大切
立ち入り禁止区域に指定された人たちは、突如として家も仕事も失うことになりました。みな普通に生活していただけなのに・・・。
電力会社のリストラがぬるいという議論が出ていますが、末端の社員に責任はあるのでしょうか?彼らの多くはまじめに働いていたにも関わらず、収入が減らされ、リストラされる。彼らにも彼らの家庭や生活があるはずなのに・・・。
本当のことを知らないまま、あるいは確かめようとしないまま、他人が流した情報を信用していると、時には足をすくわれることもあります。
情報は、まずいったん立ち止まり、批判的に受け止める習慣を持ちたいものです。
復興債は日本カウントダウンを早める?
復興支援のための国債発行が議論されていますが、今のところ、財務大臣や日銀がかろうじて防いでいます。彼らがなぜ「国債に依存すべきでない」と必死に抵抗しているのか、私たちはその理由を真剣に考える必要があります。「復興債を発行すればいい」と安易に主張している人は、世界の金融市場で日本がどう見られているかを知らないから言えるのです。
資本市場の動きを無視した政策の被害者になるのは、いつも国民です。
「日本の国債は大部分が日本国内で消化されていて、海外勢は持っていないから大丈夫」と言う人もいますが、現物がなくてもデリバティブ取引を使えば、レバレッジをかけて先物市場で巨額の「売り」を浴びせることなんて簡単なのです。
コトが起こってから動いても遅い
もちろん、日本の金融市場は想像以上に巨大であり、どこかのヘッジファンドが仕掛けた程度で崩れる可能性は小さいですが、連鎖が始まると、小さな動きが大きな波になります。ジャスミン革命などのように、ソーシャルメディア時代は連鎖が連鎖を呼びます。
ちょっと前のトイレットペーパーやガソリンのようなもので、一人一人の買う量は少なくても、みなが買えば店頭から消滅するほどのうねりになる。
私も自宅のティッシュペーパーがなくなり、店に行ってもなく、四国のドラッグストアの通販で、やっと買うことができました。(当時はケース単位しかなく、我が家には1年分のティシュの在庫があります・・・涙)
このとき学んだのは、コトが起こってから動いても遅いということです。
ただ、コトが起こってから動いても遅いのですが、真実はコトが起こってから初めて明かされるものです。
「社長、わが社は大丈夫ですか?」と社員に聞かれて、「もうすぐ倒産やで」と答える社長はいないでしょう。むしろ倒産の日に「みんな、スマン・・・」と打ち明けられるものです。そこから慌てても、なすすべもありません。
国家も同様に、「首相、わが国は大丈夫ですか?」と聞かれて、「もうすぐデフォルトやで」と答えるはずもない。むしろデフォルトの日に・・・その先は推して知るべし。金融機関の窓口では取り付け騒ぎで人が溢れ、すぐに引き出し制限がかかるでしょう。
65年前に起こったことが繰り返される?
戦後の日本では、敗戦による賠償金支払いと戦費調達のために発行した国債償還が不能になり、デフォルトを起こしました。このとき預金封鎖(引出制限)が行われ、国債の日銀引受によるハイパーインフレが起こり、外貨取引も制限されました。大幅な増税、給付カット、公務員のリストラ、公共事業の凍結などで、多くの企業は倒産し、失業者が増えました。街には闇市があふれ、日常品や食糧が異様な高価格で売買されていました。
このように日本がNINJAで溢れかえっていたのは、つい65年前のことです。
何もなければそれでよし、でも、もし起こったら?
もちろん何も起こらなければ、それに越したことはありません。でも可能性があるのならば、備えておいたほうがよいのではないでしょうか。備えなければ、会社が突如リストラや倒産したときに、仕事を失います。政府が対応を誤れば、資産を失います。他の収益源や資産がなければ、収入がなくなり、路頭に迷います。こうしてNINJAが誕生します。
天変地異は防げなくても、国家財政のリスクと個人の財政を切り離す取り組みは、私たちにもできることです。備えあれば憂い無し、です。